血液の成分

 生物の進化の過程を簡単に振り返ってみると、一番最初は単細胞生物だったと思われます。この時この単細胞生物が増殖するためには、外部から栄養を取り込み、それを体内の各器官に送る必要があります。

 しかし単細胞生物の場合は、一番外側の細胞膜を通して物質の輸送を行えばそれで事足ります。体の大きさが小さいことも幸いしていたと思います。

 しかしやがてこの単細胞生物が二つ、三つと寄り集まって新たな生命形態を作っていきます。多細胞生物の誕生です。

 問題はこの多細胞生物の形状ですが、細胞が一直線に並ぶ場合と球状に固まる場合とでは、物質の輸送方法が変わるはずです。

 特に問題なのは多数の細胞が球状に固まった場合で、その場合中心付近にある細胞は直接外の世界と接することが出来ず、周辺の細胞を経由して物質輸送を行うことになります。

 しかしこれではひじょうに効率が悪いので、もっと簡単に物質を輸送する方法がないかと進化の過程で模索が行われたのだと思います。その結果、各細胞の近くに管を通して、その管の中に栄養素を送り込むという方法が取られたのではないかと想像できます。

 つまりこの管が植物の場合は「導管」「師管」に相当し、動物の場合は「血管」に相当するわけです。

 さらに時が経過し、多細胞生物の中の一つの系統から人間が生まれてくることになるわけですが、その頃には単に栄養素の運搬だけでなく、酸素の運搬や病気に対する防衛を担うような血球も存在するようになったと思われます。

 といういわけで、悪性リンパ腫に関係する基礎知識として、先ず血液の成分とはたらきを理解する必要があるのかなと思えますので、以下に簡単にまとめます。

名称 主なはたらき 生成場所 破壊場所 寿命
血球成分 赤血球 酸素の運搬 骨髄 肝臓・脾臓 120日
血小板 血液の凝固作用 骨髄 脾臓 4〜5日
白血球 感染防御 骨髄、脾臓、リンパ節 脾臓、骨髄 10〜20日
液体成分 血しょう 90%が水で、残りは栄養素とホルモン


 この表を見て「あれ?」と思った人もいるかもしれません。悪性リンパ腫で問題になるリンパ球はいったいどこにあるのか?ということです。


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