リンパ球の種類をどこで見分けるか

 リンパ球と一言で言っても、4〜7種類ぐらいあることが前ページで分かっていただけたと思います。またこれらのリンパ球がどの程度存在しているのかという存在比も分かっています。

 しかし当たり前ですが存在比が分かっていると言うことは、それぞれのリンパ球に何らかの特徴があって区別が出来ると言うことです。

 前回はどこで分化するかとか、どんなはたらきがあるかと言うことを中心にしてまとめましたが、今回はその顔つきを調べて、どこで区別しているのかをまとめたいと思います。

 なおのちのち治療の話になったとき、私の連れの場合もそうでしたが「リツキサン」という分子標的薬の話が出てくると思います。

 これはリンパ球の細胞表面に出現する特定の目印を目安にして、その細胞だけを破壊するという役目を持った薬剤ですが、この目印というのがこれからまとめる細胞表面の顔つきに該当します。

 さてリンパ球の顔つきですが、現代科学においてはそれぞれの分子がどのような立体的な構造をしているかということが原子レベルで分かってきました。つまりどのような原子がどのように結合して、結果的にどのような形の分子になっているか、ということが分かってきたと言うことです。

 私も含めて、普通の人にはまったく関係のない、知らなくても実生活ではまったく問題の起きない知識ですが、悪性リンパ腫の治療を受けるときは知っておいた方がよい知識でもあります。

 しかしその内容はネットで関連資料を読んでも専門用語のオンパレードで、なかなかその意味するところを理解するのが難しいです。

名称 構造 はたらき
T細胞
表面にT細胞受容体(TCR)をもち、これが外部から侵入した抗原を認識する。移植による拒絶反応の原因となる
ヘルパーT細胞 抗原を認識するとサイトカイン(細胞間で情報をやりとりする物質)を放出し、B細胞の抗体生産やキラーT細胞のはたらきを助ける
キラーT細胞 目標の細胞を認識し、直接的に破壊する
B細胞 表面にY字型の免疫グロブリンを持つ
B細胞の中でそれぞれ役割分担があり、作られる抗体の種類が決まっている。主として病原菌に対応。
病原体が消えても記憶が残るので免疫が生じる
NK細胞
NK細胞受容体
を表面に持ち、腫瘍細胞と分子構造を認識する
正常細胞と腫瘍細胞を区別し、ガンやウイルス感染等の異常細胞をのみを破壊する

 ざっとまとめてみましたが、アルファベットの簡略語が多く、正直自分で書いていてもよく分からないことが多いです。

 ただ表面にある特有な構造でそれぞれのリンパ球を区別することが出来、またその表面の特有な構造によって、外敵なのか自分自身の細胞なのかを区別するメカニズムが働くようで、調べれば調べるほど、日常的に細胞レベルで凄いことをやっているんだなと再認識しました。

 その他それぞれのリンパ球が、特定のウイルスと反応するのですが、特定のウイルスを認識するために表面に特有の抗原分子を持っているそうで、これをCD(Cluster of differentiation)と呼ぶそうで、1からの連番が付いているそうです。(Cluster designationと書かれた文書もありました)

 要するにそれぞれのリンパ球表面に、ある特定の形をした構造が作られていて、この構造と一致するような構造を持つ細胞と反応すると言うことです。

 上記リツキサンは、この内CD20という抗原分子を持ったB細胞を攻撃するために開発された薬剤です。


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