尿検査で糖が検出された場合はどのようなことが考えられるのかと言うことをまとめます。前回同様、腎臓が通常のはたらきをしていれば、尿中に糖分が表れることはありません。糖はエネルギー源ですから、そんなもったいないことはしない、と言うのが人間の生理のようです。
そもそも腎臓の機能は2段階の構造になっていて、第一段階はボーマンのうと言う部分で、基本的な尿を作ります。これを原尿と呼ぶようですが、この中には蛋白や糖、その他の前ページで書いたイオン、尿素というものが含まれています。
しかしこれらは尿を作る第2段階でさらに濾し取られ、糖や蛋白は基本的に検出されなくなります。
そうなるはずが検出されるということですから、これも尿蛋白同様、腎臓の機能が衰えている、という証拠になります。
一方「糖が出た」という言い方をされたとき、最初に誰もが疑うのが「糖尿病」だと思います。しかしこれも食事をしたあとだとか、甘いものを大量に食べたりすると検出されたりしますので、すぐに腎機能の低下や糖尿病を疑う必要はなさそうです。
悪性リンパ腫との関係ですが、腎臓は腎臓内を流れる血液を濾し取って尿にしているわけですから、その血液そのものに異常があれば、腎臓にも影響が出る可能性があります。
ただし腎臓が濾し取っているのは、血液中の血しょう成分であり、血球ではありませんので直接的な影響はないはずです。
同様に各種のイオンの一部が異常に多かったり少なかったりする場合もあります。しかし糖同様食事の成分によって尿中の成分量が変化します。
逆に言うと、体液中にナトリウムイオンが多すぎる場合、尿の中にこの成分を溶かし込むことによって、体液の濃度を一定に保つはたらきがあるわけです。つまり食事に含まれる量が多ければ尿で排出し、少なければ濾し取らないと言うことになります。
従ってこの数値が異常であった場合、低ナトリウム血症というような病気もあるようですが、どちらかといえば腎臓の機能の問題であり、悪性リンパ腫とはあまり関係しないような気もします。
ただ蛋白や糖と同様、腎臓の機能が衰えていれば、排出すべきナトリウムを排出できなかったり、足りないのに排出してしまったりという現象は起きる可能性があると思います。
しかしそれを直ちに悪性リンパ腫と結びつけるのは無理があるような気がします。要するに尿蛋白や糖が検出され、ナトリウム等のイオンの数値も異常である場合、腎機能の低下が疑われますが、それが悪性リンパ腫によるものかどうかまでは分からない、と言うことだと思います。