尿のpHとは

 尿検査にはPHという項目もあります。PHとは「Potential of Hydrogen」の略号で水素イオン指数という意味です。

 では水素イオン指数とは何かというと、溶液の中に水素イオンがどの程度含まれているかと言うことを表した数値で、この数値により、その溶液の酸性度またはアルカリ性度が分かります。

 (指数という言い方ですが、溶液の中に含まれている水素イオンの数は10の何乗という指数関数の形で増えたり減ったりしますので、この言い方になります)

 そもそも水は中性で、ほとんど水分子H2Oの形で存在しているのですが、その水の中にもわずかに水素イオン水酸化物イオン(水素と酸素が結合してイオンになったもの)が含まれています。

 中性の水では、この水素イオンと水酸化物イオンはほぼ同量存在しているのですが、酸性の場合は水素イオンの方が多くなり、アルカリ性の場合は水酸化物イオンの方が多くなります。通常これらは片方が多くなるともう片方が減るというシーソーの関係になっています。

 従って酸性の溶液は水素イオンがひじょうに多く含まれ、アルカリ性の場合は水酸化物イオンが多く含まれることになります。

 要するに酸っぱい果物の中には、水素イオンが多数含まれ、石鹸等には水酸化物イオンが多数含まれることになり、これらはどちらもその量が多ければ多いほど(酸性、アルカリ性の度合いが強ければ強いほど)いろいろな物質と反応しやすくなります。

 これらの溶液の状態をあらわすためにpHという数字で表しますが、中性は7となり、それより数字が小さくなると酸性、大きくなるとアルカリ性となり、一般的には0から14の間の数値で表されます。

 つまりpHが6なら弱酸性、1なら強い酸性、8なら弱アルカリ性、12なら強いアルカリ性と言った具合です。

 人体の場合これらの数値は、食べるものによっても変動しますが、血液のpHは通常7.4ぐらいで、なるべく変動しないように、尿や便によって調節しています。つまり尿の方が変動域が大きいわけで、だいたい4.8から7.5ぐらいの間になります。

 また一般的な食品は酸性のものが多いので、尿のpHもどちらかといえば7より小さめになることが多いようです。

 ではどんな場合にpHが大きく変動するのか。通常は弱酸性の尿ですが、下痢等で体内の水分が失われれば、その分酸性の度合いが強くなりpHの値は小さくなりますが、これらは問題ありません。

 病的なものが原因の場合は腎炎や糖尿病等が疑われます。

 反対に尿がアルカリ性を示した場合は、感染症が疑われるそうですが、悪性リンパ腫とは関係なさそうです。

 まとめると

・ 「pH<5」=「体内の水分不足」=「運動後、下痢、腎炎、糖尿病」

・ 「pH>8」=「感染症による膿が尿に混じる」=「腎盂炎、膀胱炎、尿道炎」

というような感じです。


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