多剤併用(CHOP)のクール数

 CHOP療法は4種類の薬剤を投与する方法ですが、それぞれの薬剤の量や投与の日程は当たり前ですが主治医が決定します。

 我が家の場合は、病状の進行が早く、悪性度Vと判定されていて、このまま数日でも手をこまねいていると取り返しの付かない状態になる可能性がある、ということで、初日にすべての薬剤を投与。

 ただしその当時は本人の体力も衰えていたため、通常の半分を投与ということで始まりました。その結果、抗炎症作用のあるプレドニン以外は初日で終了。プレドニンのみが以後3日間連続で投与されました。

 しかしこれは特殊な例だと思います。普通は通常量を投与し。その後経過観察し。血球の回復を待って、さらに同じような方法で投与、と言うことを繰り返します。

 この繰り返しの回数をクールと呼んでいるわけですが、患者さん個人個人の容態に合わせて3〜8回繰り返すようです。

 つまり1回のクールを2〜3週間として、4回繰り返せば8〜12週、すなわち治療期間は三ヶ月程度になるわけです。最大8回繰り返すと倍の六ヶ月というのが治療期間の目安になります。

 なおそれ以上繰り返すことはしないのが普通です。理由は、副作用にによる体力の衰えが大きくなること。さらに同じ薬剤を使用すると、その効果が発揮される腫瘍細胞が限定的になり、徐々に効力が薄れるからです。

 この間患者さんの病状によって、通院治療となったり、入院治療となったりしますが、白血球数が極端に減少する場合は、入院治療にしないと感染症が起きることがあります。

 また最初の抗ガン剤投与時には、あまりに薬が効きすぎて、腫瘍細胞が一斉に壊れてしまい、それが血液中に流れるようなことが時々起こるそうで、そうなると腎臓等に大きな負担がかかるので注意が必要だ、と主治医が説明してくれました。(腫瘍崩壊症候群と呼ばれるそうで、場合によっては透析を行わざると得ないということでした)

 また治療は本来当初の投与日程に沿ってきちんと行われることが理想ですが、クールを繰り返していくと、徐々に体力が低下し、副作用の出方が激しくなると共に、血球の回復に要する時間が長くなっていきます

 そうなると、次のクールの日程になっても白血球が充分回復していないことがあり、その場合は日程を延期したりしますので、治療期間が長引くことになります。

 一方そういった事態を防ぐために、体力が落ちてくると、赤血球や血小板の輸血を行ったり、G-CSF(ノイトロジン)という白血球増殖刺激剤を使って、人為的に血球数を増やすことも行われます。

 我が家の連れは、このG-CSFにずいぶんお世話になりましたが、最初の内はこの薬剤を投与するとみるみるうちに白血球が増加しました。しかし治療末期では、薬を投与してもすぐには増加しない、と言う状況が出てきました。
 
 度重なる抗ガン治療で、すでに骨髄の血球生産能力自体が疲弊していたと思われますが、それでもなんとかリンパ腫細胞が消えて欲しいという一念で治療を続けた結果、白血球の回復が遅く、結局感染症で亡くなりました。

 無理は禁物です。あそこでやめていればと、今でも自責の念を感じています。


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