化学療法の最終目標

 多剤併用であろうが何だろうが、とりあえず抗ガン剤というのは、造血幹細胞から細胞分裂によって生まれてくる様々な血球を、良いものも悪いものも含めて、すべてその分裂過程を阻害して、分裂できなくします。

 このことによって、細胞分裂の過程で何らかの遺伝子異常が起きたリンパ腫細胞を殲滅し、その後再び造血幹細胞から生まれる新しくかつ正常なリンパ球を丁寧に育てることによって、リンパ腫が治癒するというイメージかなと思っています。

 そこで次に、実際に化学療法が行われたとき、どのような治療経過になるのかということを考えてみます。

 悪性リンパ腫の治療における最終目標は寛解であると言われています。寛解とは、主治医の説明に寄れば、「悪性リンパ腫の症状が改善し、さらに各種の検査を行っても悪性リンパ腫の残存細胞が見つからない状態」です。

 従って一般的には、この最終目標に向かって化学療法が行われるわけですが、当然その効果の表れ方は人それぞれで、うまくいく場合もいかない場合もあります。つまり

@ 化学療法を行ったが、はっきりした効果が得られず、症状が改善しない

A 化学療法を行った結果、症状はなんとか改善しないまでも悪くもならない状態になった

B はっきりとリンパ腫細胞の減少が見られた

 @の場合は、様子を見て多剤併用の薬剤の内容を変える事になると思います。「一般的にはCHOP療法ですが、あまり効果がないようなので、・・・療法に変えてみます」、と言うことになります。

 Aの場合は、年齢的要因が大きいみたいで、特に高齢の場合、強い化学療法を行うことが出来ないので、言い方は悪いのですが、平衡状態に持っていって延命を図る、と言うことになるかと思います。

 普通はBの状態になることが多く、当たり前ですが、これが「効を奏しています」という表現になります。そうすると当然、「この療法が効果がありますから、○クール繰り返しましょう」と言うことになって寛解を目指すことになります。

 その結果リンパ腫細胞は徐々に減っていき、最終クールの頃は、組織の生検を行ってもリンパ腫細胞を見つけることが出来なかった、となるとそれが寛解となります。(ただし見かけ上です)

 一方最終クールまで行ったけど、残念ながらまだリンパ腫細胞が残っている事もあり得ます。その場合は、@同様、さらに違った療法を試すことになるのかなと思えます。

 でなんでこんなことをクドクドまとめているかというと、上に書いたことは抗ガン剤の抗ガン作用だけに注目しているわけで、この治療に伴う副作用については考慮していないからです。

 つまり強い化学療法は一挙に強い副作用が出ますし、継続的な化学療法は、長期に渡って副作用が持続します。従って化学療法は寛解を目指しつつ、副作用がひどくならないようにバランスを見ながら行う療法だと言えます。


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