化学療法によって、症状が悪化するとは

 多剤併用は抗ガン効果が高い。ただし抗ガン効果が生じるのは細胞分裂過程にあるリンパ腫細胞だけである。従って1回限りの抗ガン剤投与では、もちろん悪性リンパ腫症状の強弱にも寄りますが、リンパ腫細胞が残ってしまう可能性が大きい。

 そこで2週間か3週間毎に、効き目があると思われる抗ガン剤を繰り返して投与することによって、リンパ腫細胞が細胞分裂をしようとする度に常に抗ガン剤と出会ってリンパ腫細胞が壊れるようにする。

 ただし壊れる割合は引き算ではなく、一定の%で壊れていくので、抗ガン剤投与を無限に繰り返さない限り、基本的に体内のリンパ腫細胞はゼロにならない。

 しかし繰り返せば繰り返すほど、骨髄は疲弊し、造血幹細胞から新しい血球を作り出そうという生産力が衰える。

 また、抗ガン剤を投与すると、その薬剤の毒性としての特性が強く表れ、これが様々な副作用症状を示す。特に激しい副作用が引き起こされた場合は、生命そのものが脅かされる恐れがある。

 以上のことから、抗ガン剤の1回の投与量には個人個人に合わせた限界があり、さらにクール数についても個人の体力によって、繰り返す回数が制限される。

 と言うようなことがここまでのまとめかなと思います。以上のことから、化学療法がうまくいかずに症状が悪化する可能性として以下のような三つの点が考えられます。

@ 抗ガン剤そのものの効果があまりなく、リンパ腫細胞の増殖スピードが衰えない。その結果さらに症状が悪化する。

A 抗ガン剤そのものは効果があったが、そのために引き起こされた骨髄抑制によって白血球が減少し、そのため感染症にかかり、悪性リンパ腫ではない症状によって体力が衰える。

B 抗ガン剤そのものは効果があったが、それに伴う副作用症状が激しくなり体力が衰える。吐き気や嘔吐、口内炎、味覚異常、下痢、便秘による食欲の衰え等が激しい。

 または肝臓や腎臓の機能が低下することによって、血液に不純物が増え、それによってさらに体力が落ちる。

 神経への影響により心理的に落ち込み、運動機能が衰えることによって、体全体の動きが緩慢にならざるを得ず、無気力と倦怠感にさいなまれる。

 つまり悪性リンパ腫によって命の危険が起きる場合は、簡単に言えば、抗ガン剤が効かなかったので症状が悪化した、効いたけど白血球が減ってしまい感染症を引き起こした、副作用そのものに疲れ果て体力気力を奪われた上に内臓疾患が起きる、という三つの要素に分けることが出来るのかなと思えます。

 従って逆に言うと、これらの要素を克服できれば(自分の意志だけでは克服できないと思いますが)、症状が改善し、寛解に至る道が開ける可能性があるわけです。


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