リツキサンの投与量

 前ページでリツキサンの投与量について触れましたので、実際の所多いのか少ないのかということを少し計算してみようと思い立ちました。

 要するに、リツキサンという物質が1回の投与で何個ぐらい体内に入るのかと言うことを計算して、それがリンパ腫の個数と較べて多いのか小さいのかと言うことです。(一般的には多いのがあたりまえだと考えますが、そこをあえて確かめてみようというわけです。

 そこで先ず人間の細胞数についてですが、以前も書きましたが、人間は約60兆個の細胞から出来ていると言われていますから、体重が60kgなら、1kgが1兆個となります。その1000分の1の1gの細胞数は10億個すなわち10の10乗個と言うことになります。

 つまりあえてリンパ球と普通の細胞を区別せずに、とりあえずそういった細胞が体内に1gあれば、それはおよそ10億個の細胞の集まりであり、10gなら100億個ということになります。

 一方次にリツキサンの投与量について調べてみると、私がネットで得られた数値は375mg/m2というものでした。この単位ですが、m2というのは体表面積をあらわし、これは1平方メートルあたり375mg投与すれば良いというものです。

 では人間の体表面積はどのくらいかというと、だいたい標準体型の人で1.5m2だそうですから、リツキサンの1回の投与量は375×1.5=562.5mg(ミリグラム)=0.5625gという結果になります。(mgは1グラムの1000分の1です)

 ではこの中にリツキサン分子が何個入っているかということを調べるために、リツキサン分子の分子量を検索してみました。すると143859.7g/molという数値を得ることが出来ました。(1モルの重さが143859.7gになるということで、通常の物質に較べるとものすごく大きな数値です)

 mol(モル)という単位が分かりにくいのですが、これは6×10 23個(10の23乗個)の分子の数を表しています。ということはリツキサンという分子が6×10 23個集まると143859.7gになると言うことですから、もし562.5mg=0.5625gだったら何個(x)になるかという比例計算になります。

 すなわち、6×1023 : 143859.7 = x:0.5625  という比例の式になり、これを解いていくと答は

x=(6×1023×0.5625)÷143859.7=(3.375×1023)÷143859.7=2.346×1018となります。

 つまり1回の投与でリツキサン分子の数は2.346×1018個体内に入るわけで、一方で1gの細胞数は10の10乗個ですから、リツキサンの方が10の8乗倍大きいと言うことになり、例えガン細胞が1kgあっても、その細胞すべてにリツキサン分子が結合するだけの数が投与されているという結論になります。

 (あまりの数値の差に私自身驚いています。それだったら投与量をもっと減らしても良いのではと思えるからです。ただし素人が考えている計算ですから、実際にはもっと違う要素があるのかもしれません)

 ただこれだけの差がある量を投与しても、リンパ腫細胞を100%駆逐出来ないということですから、その原因はB細胞に由来する悪性リンパ腫であっても、B細胞が出来上がる直前(CD20を持たない段階)にリンパ腫細胞となっているか、免疫系が疲弊している可能性が大きいように思います。


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