化学療法では体力も奪われます

 免役を活性化させるということは基本的に大切なことだと思います。それはガン細胞の増殖の抑制という働きだけでなく、その他の病気に対しても有効だからです。

 つまり悪性リンパ腫で闘病中であっても、他の病気に感染する可能性はあるわけで、その時に免疫が弱っていたのでは二重三重に苦労することになります。

 そう思って前ページのがん予防の12項目を眺めていたのですが、ここではたと気がついたのは、要するにこれは自分自身の体力、生活力をきちんと作ると言うことです。

 ということは、以前書いた式

 (ガン細胞の生産力)+(新たなガン細胞の生産力)+(骨髄抑制)+(副作用)+(ストレス)><(アポトーシス)+(免疫)+(化学療法)+(リツキサン)+(幸福感?)

の右辺にもう一つ、体力という項目を付け加えないといけないなと、今更ながらに基本的なことに気がつきました。

 体力があれば免疫力も増加し、アポトーシス機能も働き、さらに精神状態も良くなり右辺の効果はより大きくなると思われます。

 つまり
(ガン細胞の生産力)+(新たなガン細胞の生産力)+(骨髄抑制)+(副作用)+(ストレス)><(体力)+(アポトーシス)+(免疫)+(化学療法)+(リツキサン)+(幸福感?) という式になります。

 私の妻が入院して最初のCHOP療法が行われたとき、本人にはまだ体力が充分ありましたから、薬の量が半分だったせいもありますが、副作用もほとんど感じなかったと言っていました。

 しかしその後強い化学療法が行われたとき、嘔吐感、脱毛、神経障害といった副作用に悩まされ、徐々に体力が奪われ、同時にアポトーシスや免疫の機能も下がっていったことは間違いありません。

 ただその機能低下を補えるだけの抗ガン剤や各種抗生物質、副作用を軽減する薬剤が投与されたため、とりあえず化学療法の効果が表れ、寛解に至りました。

 しかし入院当初の体力に較べると、退院時は歩くのがやっとという状態で、病室から病院玄関までは車椅子で移動。実家のマンション入り口の数段の段差でも足が持ち上がらないという状態でした。

 見かけ上悪性リンパ腫細胞が無くなった(寛解に至った)と言うことに対して当時は喜んでいましたが、その反面、実は本人の体力が蝕まれ、アポトーシス機能や免疫機能が衰退していたのではないかと思われます。

 ただ本人や我々家族は寛解に至ったと言うことで、その後の不安は考えないようにして単純に喜んでいました。その後本人は自宅で母親と共に静養しながら少しずつ体力も回復しましたが、結局半年で再発。

 このあたり、今考えるとやはり最初の強い化学療法で、免疫系が弱くなり再発は避けられなかったのかなとも思えます。

 しかしだからといって、最初の化学療法を受けなければ、あと一ヶ月もすれば命に関わるという状態でしたから、やはり治療を受けざるを得ません。

 というわけで、どうまとめればいいのか良く分からないのですが、化学療法は効果のある範囲でやはり出来るだけ量も回数も少なくして、体力や免疫力を温存するのが良いのかなと思えます。

 (もちろん医師団はそのように考えて、最小限の量で最大の効果を発揮するように投与しているのだと思いますが、一方で標準治療として投与量も決まっていると言われると、その根拠は何?と今ならつい反論したくなります)
 


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