リンパ腫細胞の増殖の速さ

 最初の頃に書いたように、悪性リンパ腫の直接の原因はよく分かっていません。ただ結果として造血幹細胞からリンパ球になるまでのどこかの期間で、細胞のDNAに何らかの変位が起きたにもかかわらず、通常なら細胞死(アポトーシス)が起きるはずの所を生き延びて、さらに周辺に存在する免疫細胞の監視の目をすり抜け、少しずつ増殖していくわけです。

 では仮に、リンパ球が作られる過程で1個の異常細胞が生まれたとして、それが1gの塊(約10億個)になるためにどのくらいの期間が必要なのか。

 通常のガン細胞では何年もかかると書いてある資料もあれば、ガン細胞の増殖は通常細胞より早い、と書いてある資料もあります。

 また早いのではなく、死なないから増えるのだという言い方をしてる資料もあり、参照する資料によっていろいろで、このあたりがよく分かりません。

 そこで私の連れの「びまん性大細胞型B細胞悪性リンパ腫」の症状を振り返ってみると、なんとなく体調がおかしいなと言い始めたのが1月。最初の頃はだるいとか疲れやすいといった症状で、仕事が忙しければ誰にでも見られる症状だったと思います。

 その後徐々に体調が悪くなり、(徐々に悪くなっていったので逆に気がつくのが遅くなったのかもしれませんが)、水を飲む量が増え(この頃血液中にカルシウム分が増えていたと考えられます)、端から見ていてもだるそうにしていたのが3月。(ただし家事等は普通にこなしていました)

 更に症状が進んで、1日中椅子に座るような生活になってしまったのが5月であり、医師の最初の診断(急性腎炎)が出たのが6月初旬で、その頃から一挙に病気の勢いが増したように感じられ、その分強い化学療法を行わざるを得ませんでした。

 つまり自覚症状があってから、およそ半年かかって症状が徐々に悪化していったわけですが、その間リンパ腫細胞は血液中で増え続けていたのだと思います。しかし、まさか「だるい、疲れやすい」という単純な症状が、それまで名前すら知らなかった病気の初期症状だとは判断できるはずがありません。

 しかもだるさを感じる1月より以前では、12月の下旬に旅行に行っていて、その時の写真を改めて今見ても、だるさ等の症状はほとんど無かったように思います。

 というわけで「なんかおかしい」と自覚したことを私に伝えてから入院騒ぎに発展するまで、約半年の期間があったということになります。

 このことを念頭に置きながら、1個の異常細胞がどのくらいの期間でどのくらいまで成長するのかということを概算で考えてみました。


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