ミトコンドリアの特徴

 高校の生物の教科書では、一番最初に細胞の構造というのを勉強します。この時細胞内には核があって、核と外側の細胞膜の間にはいろいろな小器官があることを教えるのですが、その際に強調するのがミトコンドリアです。

 なぜこれを強調するのかというと、我々が肺によって吸い込んだ空気の中の酸素が、はるばるこのミトコンドリアまで運ばれ、この器官の中でこの酸素を使って、同時に取りこんだ栄養を徐々に分解し、その過程で生命活動のエネルギーを得ているからです。

 つまり我々は、このミトコンドリアにせっせと酸素を供給するため呼吸をして、血液でそれを体のすみずみまで運搬して、各細胞のミトコンドリアまで運んでいるというわけです。

 ではこのミトコンドリアは一つの細胞の中にいくつぐらいあるのか。もちろん細胞の種類によっても異なるわけで、大量のエネルギーを必要とする細胞では、その数は数千ぐらいあるみたいです。

 次に1個の大きさですが、そもそも細胞の大きさが10〜20マイクロメートル(ミクロン)ですから(1ミクロンは1mmの1000分の1)それよりも小さくないといけないわけで、ウィキペディアでは0.5マイクロメートル程度と書かれています。

 平面で想像するといいかなとも思いますが、例えば10×20cm長方形の中に、長さ0.5cm=5mmぐらいの楕円の粒(米粒みたいなもの)が一杯散らばっている感じです。

 そうすると、人間は60兆個の細胞から出来ているわけですから、仮に1個の細胞に1000個入っているとすると、単純計算で60兆×1000=6京個=6×1016個のミトコンドリアを持っていることになります。とてつもない数です。

 ただしリンパ球中に含まれるミトコンドリアの数はそれほど多くないみたいです。そのこともちょっと心に留めておかないといけないなと考えています。

 それにしても、こんな小さな器官が、ものすごい数集まって、我々が生命活動を営むエネルギーを生み出しているわけですから、何とも不思議な気がします。

 この辺りの詳しい話は、地球の生命の進化の歴史を読むとよく分かると思います。生命の起源の所で必ず出てきますが、ミトコンドリアはもともと単一のバクテリヤみたいなものであって、それが別の生物の細胞内に入って共生関係になり、今の生命形態に至ったというものです。

 これを裏付ける証拠として、ミトコンドリアにはDNAが含まれていて、これが代々遺伝するので、このDNAを調べることによって、人類の起源も分かるとされています。

 次にミトコンドリア(なんか食べ物みたいですが)の構造です。最近は教科書にも詳細な電子顕微鏡写真が載っていたりしますが、断面図を見ると、細長い楕円形の中に幾重にも折りたたまれたヒダヒダが見えます。

 このヒダヒダのなかでエネルギーが生産され、さらにその生産のために様々な酵素が分泌され、さらにDNAもここに格納されています。

 さらにこのミトコンドリアの機能とガン細胞の関係が最近徐々に明らかにされ始めたと言うことです。


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