赤血球の基本知識と柔軟性

 血液中の血球で最も数が多いのが赤血球です。そしてこの赤血球が酸素を運んでいるわけですから、話の発端になった低酸素状態の解消は、この赤血球がスムースに流れるかどうかと言うことになります。

 そこで先ず赤血球についての基本知識を、これまでよりもう少し詳しく調べてみました。

 先ず数です。これは血液検査結果の基準値等を参考にすればいいわけですが、手元にある資料では1mm3(1辺が1mmの立方体です)あたり500万個と書かれています。ものすごい数です。

 人間の血液の総量は、体重の7.7%ということなので、体重60kgの人は、60×0.077=4.62kgの血液を持っていることになります。

 これを仮に4.5kgとすると、水に例えればこれは4.5L(リットル)に相当します。水1Lは1000cm3なので、4.5Lは4500cm3となります。さらに1cm3は10×10×10=1000mm3なので、これは4500000mm3となります。

 従って体重60kgの人が持っている赤血球の総個数は、5000000×4500000=225×(10の11乗)となり、単純計算で2.25兆個あることになります。とんでもない数です。

 次に寿命ですが、骨髄で作られた赤血球は約120日間全身を周り、機能が衰えてくると脾臓で破壊されます。しかし機能が衰えたことが何故分かるのか、何がそれを判断しているのか、ということは現段階ではよく分かりません。

 いずれにしても120日で寿命が来ると言うことは、先ほどの2.25兆個という全体数から考えると、これを120で割れば、1日あたりに生まれる量と破壊される量が計算できます。約200億個くらいでしょうか。すさまじい数です。

 普通の人は、この生まれる数と破壊される数がほぼ等しくなっています。

 次に大きさと形ですが、直径は6〜9μmということですから、0.006〜0.009mmということになります。形は中央部が若干凹んだドーナツ型です。

 どうしてこんな形をしているのか、何故球形ではないのか、と言うことが気になりますが理由はともかく、この形になった事による利点がいくつかありました。

@ 球形よりも表面積が大きくなるので、ヘモグロビンと酸素が反応しやすい(酸素と出会う確率が大きくなる)

A 真ん中に凹みがあることによって、全体が変形しやすい。(球形のスポンジとドーナツ型のスポンジを考えると、ドーナツ型は真ん中でくの字に折れ曲がることが出来る、というイメージでよいと思います)

B 真ん中に凹みがあることによって、血しょうの流れがそこにぶつかり、血液中を移動しやすい(ヨットの帆のようなイメージでしょうか)

 以上の三点ですが、なるほどなと納得できました。ではこの赤血球の柔軟性を高めるにはどうしたらよいかと言うことですが、柔軟性を阻害する要因が二つあります。

@ 赤血球自体が固くなる
A 複数の赤血球がくっついてかたまったり、一列になったりする

ということで、これについて次回考えてみたいと思います。 


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