βグルカンとは何か

 アガリクスの商品説明を読んでいて、その効能に関して最も強調されている成分が「βグルカン」というものであることが分かりました。

 しかし「免疫力を高める」というような説明はあっても、何故高めるのかということを分かりやすく説明しているサイトはあまり無いように思います。

 そこでこれは自分自身で調べてまとめないといけないなと思い、ネットで検索し、自分なりに分かる部分を以下にまとめてみましたが、少しばかり有機化学の知識が必要なようです。ただし結論は単純です。

 先ずウィキペディアでグルカンという言葉について調べてみましたが、その説明は以下のようなものでした。

D-グルコースグリコシド結合で繋がったポリマーである。一つのグルカンの中に二つの結合様式が混在することはあるが、α型とβ型が混在することはなく、それぞれαグルカン、βグルカンと言われる。天然に最も多く存在する多糖である。」

 これを読んで素直に「なるほどなるほど」と頷ける人は10人に1人もいないのではないでしょうか。私自身無機化学の知識は少しありますが、有機化学を真剣に勉強したことがないので、一つ一つの言葉のイメージがまったく湧いてきません。

 しかしこの定義の内容が分からなければ、グルカンがどのような作用を持っている物質なのかは分かりませんので、専門用語を一つ一つ読み解いていく必要があります。

 先ず「グルコース」ですが、いわゆる糖類(狭義では水に溶けて甘みを感じる物質)の一つです。もっと身近な言葉で言えば「ブドウ糖」と言った方がイメージが湧きやすいと思います。

 化学式はC6H12O6で表されます。この化学式を単純に眺めると、6個の炭素原子と6個の水分子(H2O)が結合したような形になっています。そこでこれを炭素と水の化合物と考えて、炭水化物と呼ぶわけです。

 人間にとっては重要な栄養源であり、体の中の血液や組織液中に含まれています。ミトコンドリアで分解されて、筋肉運動等の様々な活動をおこなうエネルギー源です。

 次に、このグルコースの名前の前にDというアルファベットがありますが、これは何かというと、グルコース分子の立体的な構造を表しているのですが、基本的に我々の体の中のグルコースはすべてこのDーグルコースだと考えて良さそうなので、単にグルコースと言えば、それはDーグルコースのことを表しています。

 ちなみにD以外になにがあるのかというとLーグルコースというのがあるそうで、これはその分子の形がDとちょうど立体的に正反対になっています(鏡像異性体と言います)。

 次に、グリコシド結合ですが、グルコースのはしっこの方にある炭素に結合している酸素や水素の一部が離れて水になり、その部分が他の有機化合物と結合することを言います。

 この時グルコースがいっぱいあれば、C6H12O6と言う化学式を持ったグルコース分子が、はじっこの部分で次々とヒモのように繋がっていきます。

 例えばグルコースの一個の分子を○で表すと

○ー○ー○ー○ー・・・・・・・・というようなひも状構造になったということです。こういった、元々は単一の分子だったものがひも状に多数繋がった状態を「ポリマー」と言います。 

 さらにこの繋がり方を立体的に見ると二種類あるようで、それらを区別するためにα、βと呼んでいます。従って、ひじょうに分かりにくい定義ですが、もう少し簡単に読み替えると

 βグルカンというのは、グルコースという小さな分子がひも状に多数繋がった物質であると単純に言い換えられます。このときグルコースは基本的な単位となるので、「単糖」と呼び、それらが多数繋がったので、βグルカンは「多糖」という呼称になります。

 というわけで、βグルカンの構造のイメージが一応出来たわけですが、これが何故免疫力を高めるのかという点については、こういった構造からも、それを構成している炭素や水素、酸素と言った原子からもまったく想像できません。

 早い話がブドウ糖分子が多数ひも状に繋がったもの、と言うことですから、体に対して毒性を持つことはないだろうとは思うものの、B細胞やT細胞にこの物質がどのようにはたらきかけて免疫力を高めるのかと考えると、どうもピンと来ません。


表紙に戻る ガンに効くと言われる食品 βグルカンとリンパ球