αリポ酸とは

 前ページと同様ですが「ガンに効く」という健康食品の中に「αリポ酸」という名前の健康食品が含まれていました。最初はアルファリボ酸だと思っていたのですが、正しくはリポ(lipo)酸だそうです。

 これはどんな物質なのか。前回同様、先ずはウィキペディアで調べてみました。

 化学式はC8H14O2S2ということで、これまでの有機化合物とはちょっと違い、Sすなわち「硫黄」が含まれています。(だから特別な作用があると言うことではないと思いますが)

 人体の中では、細胞に含まれるミトコンドリアの中で行われている、いわゆる好気呼吸(酸素を使ってグルコースを分解しエネルギーを得る反応)の一部の過程で使われている物質のようです。

 (この好気呼吸の過程は「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達系」の三つの過程を経て大きなエネルギーを得ると言うのものですが、αリポ酸はこの内、最初の解糖系とクエン酸回路の橋渡しの過程で利用される物質です)

 ここまで読んで、ガン細胞が増殖するときは、血流からの酸素の応援無しに「解糖系」のみを利用してエネルギーを産み出し増殖をするということを他のページでまとめたことを思い出しました。

 ここにαリポ酸が加わることによって、解糖系からクエン酸回路へのスムースな移行が期待できると言うことなのかもしれません。

 しかしそもそもこの時の記述では、ガン細胞は無秩序な増殖をすることによって、自ら血流が滞るような環境を作り出し、そういった環境で増殖のエネルギーを得るために「解糖系」を利用するようになった、とまとめていたと思います。

 つまり、確かにこの「αリポ酸」を摂取すれば、体内にこの物質が入ることにはなりますが、この物質そのものが血流に乗ってガン細胞に届くかどうかと言うことは、ガン細胞周辺にある血流次第であるとも言えます。

 ということは、もともとガン細胞が増殖する環境では血流が不足しているわけですから、いくらこの物質を摂取しても、他の元気な細胞には作用を及ぼしても、肝心のガン細胞には到達しないような気もします。

 一方このαリポ酸が食品中に含まれている量は微量ですが、必要量は体内で合成されているそうです。ただこの合成される量が年齢的に減少すると言うことが、健康食品摂取の謳い文句の一つになっています。

 しかし、年齢的に体内で減少していくのは、何もこのαリポ酸だけではありませんので、そういった理由だけであえて健康食品としてこの物質だけを摂取するのは馬鹿馬鹿しいような気がします。

 さらに言うと、一般の健康食品に含まれているαリポ酸の量は、我々が日常的に必要とする量よりもかなり多くなっているみたいで、むしろ過剰摂取に繋がる恐れがあると言うことです。

 そしてこの過剰摂取では、副作用が顕著になってくるという記載もネット上で見られますから、安易に服用すべきではないなと感じました。


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