タヒボ茶

 タヒボ茶と言う名前は、健康食品としての名前ではあまり聞かないような気がするのですがどうでしょうか?ただ私の連れが悪性リンパ腫になったとき、今となっては記憶が曖昧ですが、誰かから「タヒボ茶が良い」ということを聞いた記憶があります。

 というわけで、いつものようにタヒボとは何かということから調べていますが、いつものウィキペディアには記載がなさそうです。

 調べる過程で、タヒボというのはブラジル原産の樹木であると言うことがわかりました。また現地でも昔から珍重されていたようですが、現地で何故珍重されていたのかはよく分かりません。茶としては樹皮の内側を煎じて飲むみたいです。

 ネットの情報では水に匹敵するほどの重さがあって、生命力が豊かであると言うことが強調されていますが、これはサメ軟骨とよく似た発想で、生命力の旺盛な動植物にあやかりたいという希望が有るのだと思います。

 ではこの中に含まれる主たる有用成分とはいったい何かということですが、どうやら「NFD」と呼ばれる成分のようです。ページによっては有機化学上の正式名称や構造式が示されていましたが、ここでは省略します。

 ただしなんでNFDと呼ばれるのかが気になったので調べてみると、これは「ナフト・フラン・ディオン」という名前の頭文字のようです。しかしこのナフト・フラン・ディオンという名前からは、どんな物質なのかまったく想像できません。

 ただ「キノン」と呼ばれる植物性色素の一種類であると書かれたページがありました。そこで今度は「キノン」について調べてみると、これは有機化合物の一種で、いわゆるカメの甲羅の形をした六角形のベンゼン環の中の二つの炭素にそれぞれ酸素がくっついたものが基本的な構造であることが分かりました。

 我々一般庶民が時々名前を聞く「ビタミンK」もキノンの一種であるとウィキペディアに書かれています。またキノンそのものはミトコンドリア内で行われる呼吸にも関係しているようです。

 しかしナフト・フラン・ディオンという物質名は商品名とかタヒボ茶関連またはスキンケア関連のページには出てきますが、それがどんな物質であるのか有機化学の見地から書かれたページは私には見つけることが出来ませんでした。

 一方「タヒボ茶 抗ガン作用」というような語句でネットを検索すると、「抗ガン作用があると言われている」という書き方と、ガンに対してこんな作用効能があると言う書き方をしているページがいくつもあります。

 特にガンに対しては「ガン組織の浸潤を防ぐ」「アポトーシスの誘導」「血管新生阻害」とかなり具体的に書いてあるページもありました。しかしそれほど効果があるなら標準治療の薬剤成分としてもっと研究されていても良いような気がします。

 また健康食品の素材情報データベースというページがあるのですが、そこでも人については信頼できるデータは見あたらないとされています。更に過剰摂取は嘔吐、めまい、下痢、貧血、出血傾向、場合によっては重篤な悪影響を引き起こすことが報告されているとまで書かれています。

 さらにさらにネットで健康食品として販売されているページの体験談以外の体験談(つまり本音の体験談)をいろいろ探してみたのですが見つかりませんでした。

 単に健康食品としての販売ページではなく、単にタヒボ茶を紹介しているページもありますが、多くは他のページの受け売りとしか思えないような記述が多く、説得力はあまり感じません。

 毎度のことながら、何々に効くという根拠を健康食品に求めていくと、必ずどこかであやふやな箇所が出てきて、私の気持ちとしては「とても効果があるとは思えない」というのが実感です。

 様々な健康食品の効能を信じている方がこのページを読むと、立腹する方がいるかもしれませんが、根拠が不明なものを迂闊に推薦する方が問題だと思っています。

 ただ他の健康食品同様、人間の体は一人一人その生理作用は違うはずですから、その成分がぴたっと合う方も統計的には存在する確率がわずかにあると思います。また良いものを摂取しているという意識が、免疫力を活性化させる可能性もあるとは思っています。
 


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