悪性リンパ腫の知識を
まとめるに当たって

 悪性リンパ腫の原因や治療法について、自分なりにいろいろと基礎から調べ直してまとめていますが、妻の発症当時は、今更ながら知識不足だったなあと言う感想を持っています。

 しかしながら、普通に生活している大多数の人が「悪性リンパ腫」なんていう病名は知らないのではないでしょうか。

 妻の病気がこの病名だと分かったとき、本人に告げるんだったら「悪性」ははずして、「リンパ腫」と伝えて欲しいと医師にお願いしたことを今更ながらに思い出します。

 当時の私の感覚では、「悪性」と来れば、その下にはだいたい「腫瘍」という言葉が続き、その先には生存率がどうのこうのという最悪の結果しか待っていないように思え、ともかく言葉だけでも軽くしてもらいたい、という一心でした。

 その後実際の治療が始まる頃になってようやく血液中のリンパ球の一部が変調をきたす病気だと言うことは分かりましたが、そもそもリンパ球がどのような性質を持った血球であるのかという基本的に知識すら持っておらず、医師の説明に付いていけないことがショックでした。

 私自身は物理が専門であるとはいえ、高校の理科教員ですから多少生物の知識はあります。しかし血液中に白血球、赤血球、血小板等の血球があることは分かっていても、その成り立ちやリンパ球そのものの種類についてはまったく分かっていませんでした。

 妻の入院生活が始まると、私は仕事と家事と病院の三カ所をぐるぐる回る生活が続き、その合間を縫って抗ガン剤治療だのCHOP療法だの、リツキサンだのという専門用語について少しずつ調べたりしていました。

 一方医師の方も、なんとか病気について説明するよう努力してくれたようですが、結局は我々患者側の知識不足のために、目前の治療方針を説明するのが精一杯で、何故その治療が必要なのかということまで説明するのは難しいように感じているようでした。

 結局この病気にはこの治療が必要であり、その場合こういったリスクが考えられますが、それでも治療を続けますか、という同意書を何回か書きましたが、基本的には病院側に「すべてお任せする」という方法しか選択できませんでした。

 問題は「お任せする」という行為は同じであっても、それを理解してお任せしたのか、単に病院を信頼してお任せしたのかでは、治療結果への印象が違うと言うことです。

 特に良くなったならいいのですが、予想に反して治療の成果が上がらなかったりすると、どこに不満をぶつけて良いやらストレスだけがたまっていきます。

 というわけで、私自身のこれまでの疑念を晴らすためと、今後予想に反してこの病気にかかってしまった人のために、少しでも病気への知識を増やしてもらおうと思い、第13章から順にまとめています。少しでも病気に対する知識獲得に役立てば幸いです。


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