悪性リンパ腫の特徴について

 日々報道されるニュースの中で、有名人とされる政治家やタレントさん達の「誰それがなんとかガンになった」という報道をよく聞きます。

 前ページで書いたように、人間のカラダは約60兆個の細胞で出来ていて、これが日々細胞分裂をしているわけですから、その分裂の時に何らかの異常が生じる可能性は必ずあります。

 今どきのコピー機を使って、A4版の紙を60兆枚コピーできるかと考えると、実際にコピー機を使っている人なら分かると思いますが、たぶん数万回のコピーで機械そのものが変調をきたすのではないかと思います。

 またコピー作業を丁寧に行ったとしても、コピーされたものが完璧に原稿と一致するとは限らず、汚れやしわ、シミ場合によってはコピー用紙が排出されない等のトラブルが数万枚に1枚ぐらいは付いてしまう可能性は否定できません。

 仮に1万回に1枚そう言ったトラブルが起きるとして、60兆個なら60億個トラブルを抱えた細胞が生まれることになります。

 これが60年間に渡って続いたとしても、毎年1億個のトラブル細胞が生まれることになります。1日にすると27万個。すさまじい数です。(実際には数千個とよく書かれています)

 通常の業務で使っていてもその程度の信頼性のコピー機に対して、機械そのもののメンテナンスを怠ったり、コピー作業中に機械にぶつかったり、コピー用紙のセットがいい加減だったりすれば、それはすぐトラブルに発展し、正常なコピーは出来なくなります。

 これと同様なことが体内で行われていて、ストレスを解消し、バランスのよい食事を摂り、睡眠を十分確保し、適度な運動をする、というのが我々人間の体に対する最高のメンテナンスだと思いますが、それでもコピー機同様、何らかのミスが起きる可能性はあります。

 ましてやそういった体内環境に対して、上記の4つの条件が歪んでいたり、さらには喫煙や副流煙、過度の飲酒、化学物質、放射線、炎症といった副次的な影響が加われば、ミスコピーの確率は更に上昇すると考えてもおかしくないはずです。

 ただし人間には、そういったミスコピーに対する自動廃棄作用(細胞死:アポトーシス)や自動修復作用(免疫)という能力が備わっていますので、この力が強いうちは、多少のミスコピーはそのままシュレッダーにかけられ細分化され破棄されるわけです。

 しかしその破棄作業が追いつかないほど、若しくはその破棄作業そのもののメカニズムが加齢によって衰えてくると、予期しない細胞が増殖を始めるということなのだと思います。

 つまりある意味当たり前ですが、長寿になればなるほどミスコピーの機会は増え、何らかの腫瘍が発生する確率は高くなるはずです。

 一方でどれほど健全な生活をしていても、加齢により異常細胞が生じたときの修復作業は徐々に難しくなっていきます。これは修復作業を行う免役細胞(これが実はリンパ球)も劣化していくからだと推測できます。

 この両者の力関係で前者が勝ると腫瘍細胞の増殖が始まるということだと思います。

 ただこの時期が個々人の体内環境によって異なるため、ある人は若くして惜しまれながらという状況が生まれ、ある人は年を取って大往生という結果になるのかなと思われます。

 そんなことを思いながら、あらためて悪性リンパ腫という病気について考えているのですが、この病気の基本的な定義は「リンパ球の異常増殖」だと考えられます。

 リンパ球ではなく、他の細胞だと、胃壁の細胞の異常増殖なら胃ガン、肺を取り巻く、または校正している細胞の異常増殖なら肺ガン、というように部位で分別しています。

 リンパ球だけが細胞の名前で分別されています。(医学的な専門知識がないので、もしかしたら線維腫というような細胞の名前で分類されているかもしれませんが、いいたいことは別の部分にあるので、今は細かいことは気にせずさらに話を進めます)

 つまり一般のガンは出来た場所で分類されているのに、リンパ腫は変異した細胞の名前で分類されていると言うことで、この辺りに治療の難しさが存在しているような気がします。
 


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