オプジーボの作用原理について

2016.8.20

 以下ネットの内容を参考にしていますが、私のこれまでの拙い知識や主観で書いていますから、間違っている部分もあるかもしれません。それを踏まえて読んでいただけると助かります。

 年をとると骨髄の働きが悪くなり、造血機能が衰え、その結果リンパ球が担うはずの免疫機能も徐々に衰退します。

 そんなときに、身体の一部に異常な細胞が生まれると、通常は免疫系の働きですぐにそういった細胞は駆逐されますが、高齢になると見逃される確率が増えていきます。

 これは新たに生まれる異常細胞の数と、免疫力の力関係で決まるのだと思っています。

 そんな異常細胞の一部に強い自己増殖能力があると、それが悪性腫瘍と呼ばれるものに変化することになります。

 これに対して現在の人類は、X線等の放射線を照射して細胞そのものを破壊したり、異常な細胞の塊を外科的手術によって取り除いたり、抗がん剤で細胞の増殖を抑えたりして、何とか悪性腫瘍と戦ってきました。

 要するに腫瘍細胞をそのものを除去、若しくは破壊・駆逐するという発想です。しかしこれだけでは転移という問題が生じたり、様々な治療により正常な細胞も破壊されてしまいた、患者さんの体力自体が落ちてしまう事がありました。

 体力が落ちれば、本来の腫瘍とは関係ない肺炎等で亡くなる確率も増えます。我が家の連れもそういった例の一つだと思っています。QOLの低下と言っても良いかもしれません。

 そこで、なんとか腫瘍細胞のみを攻撃できないかという発想が生まれます。それが前ページに書いたリツキサンと呼ばれる分子標的薬を使った治療です。

 要するに腫瘍細胞に目印をつけて、免疫細胞に後を託すという発想だと思います。

 しかしそれでも再発は起こりえます。それは目印がうまくつかなかったのか、目印は付いたけど免疫細胞の働きが弱かったためかのどちらかであるような気がします。

 そういった現象が起きていることが分かってきたためか、新たに画期的な作用機序を持つ薬として「オプジーボ」という薬が開発されました。

 そもそもがん細胞がなぜ免疫細胞の攻撃をすり抜けてしまうのか、という部分が発端のようです。

 これについて調べると、どうやら腫瘍細胞表面にある種の物質が存在することによって、免疫細胞の探知機能や攻撃機能を弱めてしまうというのが真相のようです。

 つまりがん細胞が周囲の細胞に溶け込むことができるようなカモフラージュの幕を持っていると考えれば分かり易いかなと思います。

 という事は、巷で言われる「自身の免疫細胞を外部で増殖させ、それを新たに体内に入れて腫瘍を攻撃する力を増加させる」という従来の免疫療法は、確かに免疫細胞は増えると思いますが、肝心の腫瘍細胞にカモフラージュがある限り、あまり効果がないという事になります。

 ではどうすればよいかと言えば、このカモフラージュの幕を取り去って、腫瘍細胞を白日の下にさらせば良いという発想になります。

 という発想で開発されたのがオプジーボという薬のようで、カモフラージュの幕がはずされれば、従来の免疫細胞でも、腫瘍細胞を異物として認識することができますから、すぐに探知、攻撃が始まるという仕組みです。

 以上私の解釈ですから間違っている場合もあり得ます。またこういった解釈の元に、オプジーボと従来の免疫療法を組み合わせて治療を行ったところ、免疫細胞の活動が活発になりすぎ、副作用が起き患者さんが亡くなるという事例も報告されています。

 また当然ながらオプジーボ自体にも様々な副作用が出る可能性もあります。ただ米国では非小細胞肺がん、前立腺がん、大腸がん、腎細胞がん、メラノーマ等で良好な成績が報告されているようです。


表紙に戻る 様々思うこと 作用機序と副作用