熱が急上昇し、下がらない 

 2月6日(金)。1日中熱が39度から下がらない。風邪ではなさそうだ。前回のCVの炎症の影響か、ノイトロジンで急に白血球を増やそうとしている副作用なのか。しかし今までと違い、熱が下がる様子を見せない。

 レントゲンを撮影したようだが、肺は問題ない。CRPは10.29に下がった。しかし白血球はノイトロジンの効果もなく180にしか増えていない。好中球も10しかない。

 もっとも白血病細胞をたたきのめすために、骨髄抑制は強く出るはずだから、ある程度はしょうがないか。こんな状態でも、他の患者さんよりはまだ症状が軽いと主治医に言われたが、もはや気休めとしか思えない。

 血圧も数時間おきに測定しているが、以前に比べて拡張期の数値(下の血圧)が10ぐらい落ちている。さすがに先行きが危ぶまれて、私の母親に、「今の状態が続くと、もしかしたら・・・」ということを始めて伝えた。

 心配性の母親はそう言われただけで体調を崩すかもしれなかったが、もはや私一人の胸の中にしまっておくには、不安が大きくなりすぎた。

 7日(土)。朝から38.5度の熱。昼過ぎ病院へ。痛いとか辛いという症状はなさそうだが、ともかくだるそうだ。

 手の皮膚の色がどす黒く変色しているのに気が付いた。そのことを指摘すると、化学療法をやっている人はみんなこんな色になると、Y自身から説明があった。肝臓が弱ってきたのだろう。

 主治医が来たので、急な発熱の原因を聞いた。CVの影響ではなく、下痢が続いていることから、胃腸症状からの熱という判断だ。

 しかし高熱が続けば体力も落ちる。後1週間ぐらいでイダマイシンの副作用もなくなるはずだが、その1週間を如何に持ちこたえるかが問題だ。

 本人曰く。確かに下痢はしている。特に高カロリー輸液のあとは下痢がひどい。その下痢によって発熱が起きるなら、輸液の点滴をやめれば良さそうなものだが、そうすると栄養補給が出来なくなり、体力が低下する。(今回の治療では食事が摂れない)

 ともかく今は対処療法で、栄養を補給しつつ、熱が上がらないようにするしかない。そのために相変わらず多種類の抗生剤が処方されている。しかしこの熱はかなりしつこい。一方で血球はなかなか増えず、今日も血小板と赤血球の輸血だ。

 8日(日)。早朝から40度の高熱が出て、抗生物質が一種類フィニバックスに変更になった。それでも下がらず、サクシゾンの解熱効果を期待して投与。40度を越えると体が熱くなり、動悸も激しくなる。心臓への負担が気になる。

 9日(月)も朝から40度とメールが来る。心配になり、何か出来ることはないかと病院に行く。解熱剤のカロナールを飲むがあまり効かない。体が熱くてだるい。下痢は栄養剤の影響が大きい。

 サクシゾンは良く効くが、効くまで時間がかかる。高熱の割に意識はしっかりしているし、受け答えもはっきり出来ているので安心する。しかし肌の色があまりよくない。軽い黄疸の症状なのだろうか。ただ、肝臓の数値は正常値だ。

 高熱の原因は、風邪による肺炎ではないらしい。レントゲンで確認。CVの影響でもなさそうだ。考えられるのは胃腸症状もしくはノイトロによる発熱だが、下痢が続いているので、胃腸からのものだと思われる。

 しかし現状では栄養剤がないと体調も維持できないので、下痢が起きることが分かっていながら使用するしかない。

 栄養剤の成分を変更できないか聞いてみたが、出来ないという返答だ。イダマイシンの副作用が続くのは化学療法後3週間ということなので、今週末にその影響が消えるはず。そこからこれまで同様に急回復することを願う。


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