リツキサンについて

がんサポート情報センターの情報より抜粋させてもらいました

 リツキサンは、遺伝子組換え技術によって作られた「抗体医薬品」です。抗体とは本来、体内に進入した異物と結合して、その異物を無毒化する役割をもっており、体の中で自然に造られるものです。

 一方リツキサンは、がん化したB細胞の表面にある「
CD20」というタンパク質に結合するよう造られた人工的な抗体です。

 世界初の治療用抗体であり、1997年に米国で承認された後、現在では世界中の約80カ国で使用されています。その作用は、
がん化したB細胞を直接攻撃すると共に、体が本来もっている免疫系を応援することも解かっています。


リツキサンの作用機序
 
 リツキサンは
CHOP等の悪性リンパ腫の標準治療と組み合わせると、その生存率を高めるという画期的な薬剤です。そのあたりのメカニズムを考えてみました。

 上の説明にも書いてあるように、遺伝子組み換え技術によって作られています。つまり近年の
バイオテクノロジーの成果の一つであると言えます。

 現在悪性リンパ腫という病気では、次から次へと新しい薬剤や療法が開発されていますので、可能性があれば少しでも長く生きる努力をすることによって、新しい治療法の恩恵にあずかれる確率が増えます。

 抗体医薬品と書かれていますが、要するに特定の異物のみを攻撃する機能を誘発すると言うことです。

 では特定の異物というのをどのように見つけて判断するのかというと、上にあるようにB細胞の表面にある「CD20」というタンパク質に結合するよう造られていると言うことです。

 この辺りは専門的で私自身分からない部分も多いのですが、どうやら悪性リンパ腫で一番代表的なのが、非ホジキン型でB型、びまん性大細胞リンパ腫というもののようですが、要するにこのB細胞の表面に特別な構造を持つ「CD20」と呼ばれるタンパク質があるみたいで、このタンパク質にリツキサンが結合するわけです。

 すると全体として新しい形のB細胞が出来上がるので、それを体の免疫機構が異物と判断し攻撃するということです。

 ということは、先ずリツキサンが効力を発揮するためには、なるべく多くのB型のリンパ腫細胞と結合しなければなりません。そしてさらに結合後、それを異物と判断し攻撃する余裕(免疫力)が体の方にないと、単に結合しただけで終わりになってしまいます。

 Yが大学病院に入院したとき、すぐにリツキサンのことが話題になりましたが、主治医は今の体力で投与は難しいと教えてくれました。

 今考えると、その理由は、要するに本人の体力そのものが落ちている段階では、免疫が働く余裕がない、という事だったのかもしれません。

 さて、リツキサンは確かに排除するリンパ腫細胞を見分けて結合し、的確に効果を表す薬剤だと思いますが、それでも悪性リンパ腫細胞があちこちに分散していたり隠れていたりした場合、さらに続々と新たな細胞が生み出されている場合は、すべての細胞を殲滅することは出来ません。

 つまりリンパ腫細胞の数が少ない低悪性度ならリツキサンだけの治療でもすむかもしれませんが、中高悪性度になると、どうしても残存細胞があり、それをさらに薬剤で攻撃するために、CHOP療法を組み合わせるという事だと思います。
  


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