前ページで血液中の血球数をまとめました。この中で悪性リンパ腫に関係するのは白血球ですが、この白血球には5種類あると書きました。再度書くと「好酸球」「好中球」「好塩基球」「リンパ球」「単球」の5種類です。
この5種類の白血球がそれぞれ役割を分担して感染防御の体勢を整えているわけですが、当然ながらその5種類の存在比はある程度決まっています。
これを「白血球分画」と言います。「分画」とは、ある物質の中に含まれる成分の比率の事です。つまり白血球全体の中で、例えば好酸球が何%ぐらいあるか、ということを表した数値です。
でこの数値は、健康な人の場合ある程度その範囲が決まっています。以下にその代表的な分画の数値とそれぞれの白血球の成分比が増加減少した場合に考えられる病名についてまとめました。
名称 | 分画(%) | 増加 | 減少 |
好酸球 | 0〜2 | アレルギー性疾患(喘息、花粉症、じんましん) 寄生虫病、ホジキン病 |
クッシング症候群 |
好中球 | 40〜71 | 感染症、外傷、慢性骨髄性白血病、心筋梗塞 急性中毒 |
急性白血病、腸チフス、敗血症 抗ガン剤、インフルエンザ |
好塩基球 | 0〜1 | 甲状腺機能低下症、慢性骨髄白血病 | |
リンパ球 | 27〜47 | ウイルス感染症、甲状腺機能亢進症、副腎の病気 | 悪性リンパ腫、がん、白血病 |
単球 | 2〜8 | 結核、梅毒、はしか |
体に何らかの異常を感じ血液検査を受けたとき、その数値がこれらの範囲に入っていれば、ごく普通の病気?であると言えそうですが、どれかの数値が著しく多い、または少ない場合、それによってある程度病気が推測できます。
ただし、これらの基準となる分画の数値も、利用する資料によって若干異なるようで、だいたいこのぐらいが目安と考えておけば良さそうです。また増加、減少による病名も一例を書いただけで、他にもいろいろあります。
さらに一時的に数値が片寄る場合もありますので、実際にはこれ以外の血液検査の数値や、場合によっては骨髄の検査によって病気を判断します。
我が家の連れの場合も、闘病記に書いたように、最少は急性の腎炎ではないかと判断され緊急入院したわけですが、そこで血液検査や尿検査、レントゲン検査等を受けて、「悪性リンパ腫」が疑われる、という診断でした。
その後大学病院に転院後、さらに細かい検査をして、ようやく診断が確定したわけで、白血球分画の数値だけでは「悪性リンパ腫」であると断言は出来ないようです。
ただその後の抗ガン剤治療時には常に血液検査によって治療の効果が判断されていました。その時医師が注目していた数値の一つが、この白血球分画ではなかったかと思われます。