私の連れの病気が「びまん性B細胞型の悪性リンパ腫」と分かったとき、最初に考えたのはその原因でした。
その後すべての治療が終了し、この闘病記をまとめ終わったとき、患者の家族の一人として「何故悪性リンパ腫になってしまったんだろうか」という事をいろいろと考え、その項目を第11章「すべての治療を終えて」にまとめています。
しかしこれらの原因は、一般的なガンとしてのイメージで書いたものであり、この頃はまだ悪性リンパ腫という病気そのもの知識もかなりいい加減なものだったと言わざるを得ません。
また連れが入院し闘病している最中に、大学病院の担当医師に「どうしてこんな病気になってしまったんですか」とそれとなく何回も聞いてみましたが、「原因は不明です」というつれない言葉しか返ってこなかったのが印象に残っています。
「原因が分からないのに治療が出来るのか?」という疑問もありましたが、専門家が分からないというのですからそれ以上追究のしようがありません。
そこで今回改めて書籍やネットの情報を駆使して、これまた分かる範囲ですが、原因について考察してみたいと考えました。
ただし悪性リンパ腫の病気自体、様々な種類があることが分かりましたので、その原因も多種多様になってしまい、まとまりのないものになってしまうかもしれません。
とうわけで前置きが長くなりましたが、原因です。現代の医学界が悪性リンパ腫の原因として考えているものに「ウイルス感染」「細菌感染」「慢性炎症刺激」などがあるそうです。
ただし特定のウイルスや細菌が関係していることが多いと言うことは分かっているものの、その感染で必ず悪性リンパ腫が発症するわけではないところが、また話をややこしくしています。
ではどんなウイルスや細菌、炎症が問題なのか。以下にまとめてみました。
非ホジキンリンパ腫 |
エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス) |
B細胞リンパ腫 |
エイズ、臓器移植後の免疫不全状態、慢性の炎症刺激 |
胸膜リンパ腫 |
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス (ヒトヘルペスウイルス8型) |
成人T細胞白血病/ リンパ腫 |
ヒトT細胞白血病T型ウイルス |
粘膜関連リンパ組織 (MALT)リンパ腫 |
ヘリコバクター、ピロリ菌 |
一応この表では病名とそれに関連するウイルス等が対応するようにまとめましたが、いろいろなネットの情報を見てみると、原因ウイルスは同じでも対応する病名は別のものだったりしますので、あくまで目安に過ぎないと言うことのようです。
また最上段のEBウイルスについては、B細胞、T細胞、NK細胞、すべてのリンパ腫に関係するように書かれたものが多く見られます。
調べる過程でひとつ気になったのがこのEBウイルスです。ヘルペス(皮膚や粘膜にヘルペスウイルスが感染すると水ぶくれが出来ます。水疱瘡や帯状疱疹という病名もあります)を発症するウイルスのようですが、成人の90%以上は感染の経験者だそうで、通常は問題なく治ります。
ところがこのウイルスが何らかの原因で増殖すると悪性リンパ腫を引き起こすことがあるようで、高熱と肝機能障害が起き、リンパ節が腫れたり、蚊に刺されたところがえぐれたようになると書かれています。
気になったのは、私の連れが生前、悪性リンパ腫を発症する前、蚊に刺されるとすぐに炎症が悪化し、真っ赤になって腫れ上がっていくのを何回か見たことがあるからです。
「甘いものの食べ過ぎで血液がおいしんだよ」と冗談めかして冷やかしていましたが、今頃になってもしかしたらと思えるようになってきました。
つまり悪性リンパ腫発症以前にこのEBウイルスが密かに活動を初めていた時期があったのではないかということです。しかし当然ながら表向きの身体的症状としては、刺されたところの腫れ以外、別段気になるような症状はなかったので、当然単なる虫さされだと判断してしまいます。
ところがそういった炎症刺激がEBウイルスを活性化しリンパ球の異常増殖を促したと考えると、なんとなく納得できるような気もします。しかし即断は禁物。もう少し調べてみないといけません。