ここまでのまとめ

1 抗ガン剤は、元々は神経に作用する毒ガス兵器として使われていた

2 この毒ガス兵器が人体に作用すると、白血球が減少することが分かった

3 抗ガン剤が人体にはいると、主として肝臓や腎臓で代謝される

4 従って一度に大量に投与されると、肝臓や腎臓の機能障害が起きる可能性がある

5 抗ガン剤は本来の抗ガン作用と、本来必要のない毒物としての副作用が存在する

6 経口投与された抗ガン剤は、胃や腸といった消化器官の内壁を荒らすことが多い

7 その結果、吐き気や嘔吐、下痢と言った副作用が生じる

8 さらに、元々抗ガン剤は神経を犯す薬剤から出発しているため、副作用として運動機能や神経機能に異常をきたすことがある

9 抗ガン剤本来の、抗ガン作用は細胞分裂を行っている細胞に作用する

10 この作用は、体細胞だろうが血球だろうが、すべての細胞に作用する

11 従って抗ガン剤を投与すると、すべての血球数が減少する

12 また、細胞分裂の激しい頭髪等では、毛根に作用し脱毛が起きる

13 血球が減少した場合、赤血球や血小板は輸血で補う

14 白血球の減少に対しては、G−CSFという、増殖を刺激する薬剤を投与する

15 これらの副作用(内臓の機能障害、神経系の異常、脱毛等)は、抗ガン剤の投与が終われば回復する

16 骨髄自体が疲弊してくると、血球数は容易に回復しなくなる

17 細胞分裂を、時間的経過から見ると、実際の細胞分裂期間よりその準備期間の方が遥かに長い

18 そのため1回の抗ガン剤投与では、ほんの一部のガン細胞にしか影響を与えられない

19 一方で一つの薬剤を大量に投与すると、特定の激しい副作用が生じる

20 また抗ガン剤の種類によって、細胞分裂のどの段階に作用するか、微妙に異なる

21 以上のことから、複数の抗ガン剤を投与し、副作用を分散化させ、なおかつ作用する段階を微妙にずらすことによって、抗ガン効果を高める

22 さらに多剤併用を何回か繰り返す(クール)ことによって、さらに抗ガン効果を高める


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