化学療法のクール数について

 前ページで説明したように、抗ガン剤が効果を発揮する時間は、リンパ腫細胞の例ではありませんが、大まかに言って全期間中の20%〜50%ぐらいの間だと言えるような気もします。(多少強引なこじつけですが)

 仮にこの数字の間をとって、35%とすると、抗ガン剤の作用を引き算で考えることが出来れば、3回のクールで寛解する計算になります。

 一方化学療法は、同じ薬剤を繰り返すと、徐々にその効きが悪くなると言われています。つまりリンパ腫細胞の中に、その薬剤に対して耐性をもつものがあらわれる、ということです。

 また繰り返せば繰り返すほど骨髄抑制は強く現れ、副作用も激しくなります。さらにさらに、もともと抗ガン剤は強い毒性を持っていますから、それが刺激となって、新たなガン細胞が生まれてしまうと言うことも指摘されています。

 これが具体的にどのような状況なのか分かりかねる部分もあるのですが、私の連れの場合、再発後に強い化学療法を繰り返した結果、リンパ腫細胞は減ったものの、変わりに白血球が変性?し白血病の症状を示すようになりました。

 結局正常な白血球が生まれないので、何の変哲もない細菌が肺で増殖し肺炎症状を起こし他界と言うことになりましたので、これは強い化学療法が引き金になって新たなガン細胞が生まれたという例なのかなと、私は解釈しています。

 ということで、化学療法はリンパ腫細胞をやっつけるという効果は大きいものの、それに伴う様々な余計な症状への対処が難しい治療法であるといえます。

 そんな中で最初に戻りますが、もし1個の細胞に対して抗ガン剤が作用する時間が全体の35%程度しかなく、その効果が投与を繰りかえす度に例えば5%程度薄れていくとすると、例え引き算で計算しても、35+30+25+20=110%となり、4回クールを繰り返す必要が出てきます。

 しかし実際のCHOP療法は6〜8回繰り返すことになっていますから、その減衰度はもっと激しいか単純に5%ずつ減っていくという考え方自体もおかしいのかもしれません。

 いずれにしても素人が何回やればベストの治療なのかということを考えるのは不可能にも思えますが、ネットの情報で、なぜCHOP療法は6〜8回が標準治療となっているのかという回数の根拠を示したものを見つけることが出来ませんでした。

 つまり6回で寛解するような症状なら、もしかしたら5回で寛解していたかもしれないし、逆に8回もやったら、すでに抗ガン剤の効力はほとんど失われていて、ただ単に骨髄抑制と副作用だけがひどくなる、という状況もあり得るのではないかという疑問です。

 私がこの回数にこだわる理由は、私の連れが再発をしたとき、新たな強い化学療法を行い、第2クールまではひじょうに体調も良く、実は本人と私の強い希望で病院を説得し、ハワイ旅行にまで行ってきました。

 しかし帰国後第3〜第4クールを経て、体調が急激に低下。副作用も激しくなり、血液検査の結果も芳しくないのが分かっていたのに、なんとしてもリンパ腫細胞を最後までやっつけるんだ?という意欲を主治医が持ったのか、第5、第6クールまで行いました。

 その結果が上に書いた白血病です。主治医の熱意も理解できなくはないのですが、終わってみれば虚しさと悔いが残るだけでしたので、あえて似たようなことを何回も書きつづっています。


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