ここまでのまとめと適正体温について

 ここまでの話で動脈硬化の原因と対策の目処が一応つきました。しつこいようですが対策は「運動」と「食事」「ストレス解消」が基本になりますが、その前に喫煙習慣があったら禁煙をする、高血圧症状があったら治療をする、と言うことも大事です。

 ただ書くのは簡単ですが実行が厳しいです。私自身20年来高血圧症状を呈していますが、進むのを食い止めるのが精一杯です。多少頑張って解決できたのは、年齢のせいもあるかもしれませんがアトピー症状だけです。

 ただし何も努力しなければ、血圧は今よりもっと上がっていたかもしれません。(と言うように自分に都合良く解釈しないと、努力が続きません)

 またドロドロ血液の対策としては、ドロドロがコレステロールに由来している場合は、やはり動脈硬化と同じ対策が有効です。(ただしコレステロールも必要な物質ですから、無闇に減らせばよい、と言うものでもありません)

 一方、ドロドロが血球どうしの付着によるものの場合は、血しょう中の糖分が多すぎると言うことのようですから、糖尿病等の症状があったら改善の必要があり、そうでない場合で甘いものが好きな場合は、少しそれを控える方がいいという結論になりました。

 これで、ここまでの症状が改善されれば、心臓からの毛細血管に至るまでの血管の内壁がきれいに整備され、中を流れる血しょうはサラサラと流れ、さらに赤血球は一つ一つが分離した状態で、のびのびと柔軟性を発揮できる状態になったわけです。

 とすると次の段階は毛細血管で起きている「冷え」の解消かなと思えます。体内の一部分が著しく冷えるという状態を改善するにはどうしたらよいかと言うことです。

 そこで先ず最初に人間の体温についての考察です。人体は何故36.5℃ぐらいの体温なのかということですが、基本的には人間は恒温動物の仲間で、自分の体温を自律神経等で自動的に調節しています。

 では何故36.5℃ぐらいに調節するのかと言えば、これは生物学で言うところの酵素が働きやすい温度であると言うことです。

 ちなみに酵素とはいったい何かというと、特定の化学反応を補助する物質です。中学生ぐらいで過酸化水素水に酸化マンガン(U)(昔は二酸化マンガンと言っていました)を加えて酸素を発生させる実験を行った記憶がある人もいると思います。

 過酸化水素だけでも、放置すればわずかずつですが分解して酸素を発生するのですが、そこに酸化マンガンを加えると反応が一挙に進むと言うことで、この場合は一種の触媒だという説明をしますが、そういった触媒の中で生体の中にある物を酵素と呼んでいます。

 でこの酵素というのには特徴がいくつかあります。

@ 基質特異性

 一つの酵素は一種類の化学反応だけを促進します。

A 温度特性

 通常の化学反応は温度が上がるとより活発に反応しますが、酵素がよくはたらく温度は40℃前後です。

B 酸、アルカリ(塩基性ともいいます)との反応

 酵素が存在する場所によって、働きやすい酸性度、アルカリ性度が変わります。例えば胃の中で働く酵素(ペプシン)は、胃液が強い酸性なので、酵素もその強い酸性で働くようになっています。

 逆に唾液等に含まれる酵素(アミラーゼ)は、ほぼ中性で一番よく働きます。

 というわけでAの条件を満たすために、体温は36.5℃前後になっているわけですが、だったら最初から体温を40℃にしておけば、最も元気になれるじゃないかとも思えます。

 私もそう思うのですが、我々が体温と呼んでいるのは体表温度ですから、実際の内臓付近の体温はそれより1度ぐらい高いようです。

 一方、一般的に人間の体温が42度を越すと、生体内の化学反応のバランスが崩れると共に、生体を構成している様々なタンパク質が温度変化の影響を受けて勝手に変化してしまうことがあるようです。

 (熱を加えてタンパク質が変化するのを変性と呼んでいます。目玉焼きがかたまるとかの現象です)

 その意味では、病気になって熱が出たときこの体表温度が42℃を越す前に、酵素群の活動を活発にして病気をやっつけるという働きが必要で、そのために若干体温に余裕があるというのが、基本的な考え方のようです。(そうだという学説があるわけではなさそうです)

 一方体温が下がれば下がるほど酵素の活動は減衰しますから「低体温」は良くない、と言われるわけですが、これはまた別のページでまとめたいと思います。

 要するに通常の生活を行うために酵素が気持ちよく活動できる温度は体表温度で36.5℃前後だというのが今日の結論です。


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