リンパ球の教育問題はちょっと難しそうだったので、後回しにして「NK細胞」について調べています。NKとは「natural killer」の略で、自然のままの、生まれつき殺傷能力をもった細胞である、というのが名前の由来です。
では殺傷能力を持つもう一つのT細胞とどこが違うのか。生まれはすべて造血幹細胞が基本になり、この中の一部が白血球となり、この白血球がさらに枝分かれをして、好中球やリンパ球になります。
さらにリンパ球が分化してB細胞やT細胞と呼ばれるリンパ球になるのですが、この時全体の2割前後のリンパ球がNK細胞となるようです。
発見されたのは比較的新しい時代で、ウィキペディアには1973年と書かれています。またその働きが明らかになってきたのは1986年以降みたいで、現在も研究は続いています。
現在分かっている範囲で、形以外の働きの部分でB細胞やT細胞とどこが違うのか、と言うことですが、
@ 生まれつき殺傷能力を持っている(だからNK細胞と呼ばれます)
A むやみやたらに殺傷能力を発揮されては困るので、厳密な制御機構がある
B 異物と認識するのは、細胞表面に特有のタンパク質があらわれていない(少ない)細胞
C 攻撃は迅速で、T細胞やB細胞が活動を始める前から活躍する
ということです。
特にBの部分が殺傷能力をもつT細胞と大きく異なる部分で、いわゆるキラーT細胞は、細胞表面に異常なタンパク質が多いと活性化されるようです。
つまり、個人の細胞表面には核内にある染色体からの情報により、ある一定のタンパク質があらわれていて、それが自己と非自己を見分ける要因になっているわけですが、T細胞はこのタンパク質が必要以上に多い場合にはたらき、NK細胞は少ない場合にはたらく傾向が強い、ということです。
これによって異物を分担して排除しているというのが分かりやすいイメージだと思います。従ってNK細胞の働きを強化すれば、ガン細胞増殖の抑制に一定の効果があると思われます。
ところがこのNK細胞は高齢者になればなるほどその活性(殺傷能力)が低くなります。一番高いのは20歳前後で、その後年々減り続け、60歳の頃には当初の半分程度の力しか持っていないというデータがあります。(免疫プラザというサイトに掲載されていたグラフを参考にさせてもらっています)
この辺りのことも、高齢者になればなるほどガンが増えるという証明になっているようにも思えます。
ではこのNK細胞の活性を復活させることは出来ないのか、と誰もが考えると思います。ここでようやく免疫を高めるいろいろな方法が出てくるわけですが、だからといってストレスを解消して、運動や睡眠、冷え、高血圧、低血圧、食生活を改善しましょう、と言われても、なんか説得力にかけるような気もします。
一方、薬を飲んでNK細胞を活性化なんてキャッチフレーズがあれば、すぐに飛びついてしまうような危うさも感じます。実際問題どうすればいいのか?これが次のテーマになりそうです。