水クラスターの補足

 前ページからの続きですが、水クラスターというのが存在することは間違いないようですが、その大きさを人為的に変えることは、一時的に出来たとしても、すぐにまた混沌とした状態に戻るだろうなと言うのが私の結論です。

 何でそう思うのかというと、そもそも世の中の物質を構成している小さな原子や分子は絶えず熱運動をしていて、動き回っていると言われているからです。

 我々が水の中に指を突っ込んで温度を確かめたとき、何を感じているのかというと、多数の水分子が皮膚の表面にぶつかり、それが刺激となって、その刺激の大きさを温度として感知します。

 この運動の激しさを熱運動といいますが、当然温度が高ければ高いほど、熱運動が激しくなり、皮膚に激しく衝突するので、我々はそれを「熱い!」と感じます。

 従ってお湯の温度が徐々に下がっていくとき、その中の分子の運動は少しずつ穏やかになり、最後は水素結合の力が分子として単独に行動する力をうわまわり、個々の水分子が一定の形でかたまっていきます。そうやって出来たのが氷です。

 たださらに同じ氷でも、−1℃の氷と−100℃の氷では、水分子の運動はさらに穏やかになります。つまりどんな状態でも分子はわずかに運動していて、それを我々は熱や温度として感じます。

 と言うことは小さな水クラスターがある瞬間に出来たとしても、すぐにそのクラスターは他の水分子からの衝突によって壊れてしまうかもしれませんし、また衝突ではなくあらたにくっついて大きなクラスターになる可能性もあるわけです。

 これは化学の授業では「熱運動」とか「状態変化」と言われている分野の内容ですが、分かりにくいとき私はいつも校庭で遊んでいる子ども達の例を挙げて説明するようにしています。

 すなわち校庭で子ども達がきちんと並んでいる状態が固体(氷)という状態であり、そこから自由にグループを作って良いよと言ってちょっとばらけた状態が液体(水)、さらにもう教室や家に帰って良いよと言って、個々の生徒がバラバラになる状態が気体(水蒸気)だと説明しています。

 なお整列していても、個々の生徒はその場でちょっと手や足を動かしたり、それをとめても瞬きをしたり、更には体内では血液が流れていたりしますので、固体であっても様々な運動状態があり、それによって温度が決まるという説明をしています。

 ちなみにこれらの運動をすべて停止するような状態が最も低い温度で、これを絶対零度、約−273℃であると説明していますが、この温度をどうやって測るのかはよく分かりません。

 それはそれとして要するに、水という液体の状態では、その中で水分子が水素結合により常にくっついたり離れたりしているはずですから、一時的に小さな水クラスターが出来ても、すぐに壊れたり、逆にもっと大きくなったりするはずだ、と思うわけです。

 校庭内の子供達に例えると、校庭が水の容器であり、その中に多数の子供達がいて、グループを作って自由に遊んでいる状態で、あるグループは少人数、あるグループは大人数になるものの、長い目で見ればそれは一致時的なものであり、小グループが大グループに吸収されたり、大グループが解体されたりするということです。

 従って浄水器によって水クラスターを一時的に小さくすることが出来たとしても、蛇口から出る頃には元の状態に戻ってしまうという結論になります。

 ただし浄水器の性能は水クラスターだけでなく、不純物の除去と言うことに大きな威力を発揮すると思われますので、浄水器そのものを否定しているわけではありません。


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