「薬」と「健康食品」の違い

 健康食品についていろいろ調べている内に、これまで当たり前だと思っていたことに根本的な疑問が生じました。それは薬と健康食品は何が違うのかということです。さらに言うと健康食品と一般の普段食べる食品と何が違うのかということです。

 そもそも健康食品が「薬」と同じような薬効を持つと言うことが分かっていたら、それは「薬」として定義されるのであって、「健康食品」とは呼ばれないような気がします。

 裏を返すと、健康食品は薬ほどの強い薬効は持たないけれど、もしかしたら多少体の調子を整える成分が含まれているのかもしれない、という程度ぐらいの薬効しかないのかなと思われます。

 ということは、体に危険が無いと言われている健康食品は、その薬効もあまり期待できないと言う結論になります。しかし実際問題どのような定義で「薬」と「健康食品」を区別し、さらに言えば、東洋医学で使われている「漢方薬」等はどのような基準で製造されているのかが気になってきました。

 そこで「薬と健康食品の違い」というような検索語句でネットの情報を探してみると、「薬」については、以下のような条件が課されていることが分かりました。

 先ずこれらの分類を統括している法律は「薬事法」というものであることが分かりました。さらに医薬品と食品を区別する定義として厚労省が通知を出して、食品について以下のような定義をしています。(ウィキペディアを参考にしています)

  1. 野菜、果物、菓子、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物
  2. 健康増進法第26条(旧栄養改善法第12条)の規定に基づき許可を受けた表示内容を表示する特別用途食品(病者用食品、妊産婦授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳、高齢者用食品、保健機能食品(特定保健用食品と栄養機能食品)が該当する)


 これについては、私の個人的解釈ですが、要するに食べ物に見えるようなものは食品である、ということです。

 次に上記に該当しないものとして、以下の四つの要素から医薬品と食品を区別するようです。

  1. 専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)の含有。ただし薬理作用の期待できない程度の量で着色、着香等の目的のために使用されている場合を除く。
    1. 毒性の強いアルカロイド、毒性タンパク等、その他毒劇薬指定成分(別紙参照)に相当する成分を含む物。
    2. 薬、向精神薬及び覚せい剤様作用がある物。
    3. 指定医薬品又は要指示医薬品に相当する成分を含む物であって、保健衛生上の観点から医薬品として規制する必要性がある物。
  2. 医薬品的な効能効果(疾病の治療又は予防、身体の組織機能の増強増進、またそれらを暗示する表示)の標榜
  3. 医薬品的な形状(アンプル剤)
  4. 医薬品的な用法用量の表示


 この4つの条件の内、1つでも満たしていればそれは医薬品に分類されるとのことです。

 1については、これだけを単独で読めば当たり前の事だと言うことが分かりますが、逆に言うと健康食品の中の薬効成分は薬理作用が期待できない程度の量しか含まれていないと言うことになります。

 さらに2番では、そういった食品は医薬品的な効能効果を標榜、すなわち、その薬効をはっきり示すことは出来ないとなっています。ただしネット上の健康食品を紹介する文章では、かなり怪しい言葉が並んでいますね。

 私自身これまで書いてきた健康食品の効能については、もしかしたら断定的に書いた部分があったかもしれないなと思っているので、少し見直そうと思っています。

 さらに、健康食品を販売する側の業者さんの立場に立てば、効能をきちんと示さないと購入してもらえない可能性が高くなりますから、この辺りはひじょうに微妙な部分です。

 と言うことは、利用者側がそういった内容を踏まえて、効能の説明を読み解き、それを納得した上で購入しないといけない、と言う結論になりそうです。

 というわけで、理屈から考えると、いわゆる健康食品というのは、現在の健康状態をわずかに改善する機能しか持ち得ず、もしそれが劇的に改善するようなものであったなら、それは薬剤として扱われると言うことになります。

 であるなら健康食品はいくら利用してもほとんど意味がないのか、という議論に発展してしまいそうですが、何回か書いているように、自分の体調のどこに欠陥があるのかということが明確である場合、その欠陥を補いつつ、体に負担をかけずに、ほんの少し状況を改善するという意味で健康食品を利用する意味はあるのかなという気がします。

 またそういった食品を摂取することによって、精神的な安らぎを得られ、それがもしかしたら免疫力回復に貢献する可能性も考えられるなと思っています。
 


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