「健康食品」を利用するときは

 薬は薬効成分のみを精製し、そのはたらきを究極まで高めたものであり、健康食品は食べるものの中にそういった薬効成分が少量含まれている、ということが前ページの簡単なまとめです。

 だから「健康食品は効かない」と結論づけるつもりはありません。その理由は

@ 食べ物であるから、基本的に食べ過ぎなければ体に害は無い
A 体によい食べ物を食べているという意識が精神的な安定をもたらす
B 精神的な安定は免疫力の向上に効果をもたらす可能性がある
C 薬と違って、目的とした成分以外の成分も多量に含まれているので、思わぬ効果がでる可能性を秘めている
D 人間の体と薬の薬理作用が完璧に解明されているとは言えない以上、どんな食品にも、食べることによって健康を維持する一定の効果が期待できる
E 薬と違って、長期間続けることが出来るので、体にうまく適合すれば穏やかな体質改善が望める

と言うような事が考えられます。反面デメリットとしては

@ 効いていたとしても、その効き方が穏やかなので速効性が感じられない
A 他の治療と併用することが多いので、効いたか効かないかが判然としない
B 統計学的に同じような臨床例で同じ健康食品を同じ服用方法で偽薬と比較した例が少ない
C 「効かない」のでは、という疑心暗鬼にとらわれ、食べ過ぎたり、次々と変更したりしがちである
D 長期間の服用が必要であると思われるのに、短期で諦めてしまう
E 長期間の服用と言われても、その長期間がどのくらいかはっきり分からない
F 自分の体に合っていると思われる健康食品を探すのが大変
G 薬と違って、場合によっては大変高価な買い物となる

というような事が考えられます。

 従って、何回も書いていますが、

@ 先ず自分の症状の分析または医者の診断を客観的に把握
A 何が今の自分に欠けているのかを判断
B その欠けている部分を補うはたらきのある成分を探し出す
C その成分を含む健康食品を検索
D その健康食品をどのように摂取すれば最も効率よく体に取り込めるのかを研究
E 医師から処方された薬剤との兼ね合いを医師と相談
F 許可を得てから、薬効は穏やかに効いてくると言うことを納得
G 経済的な負担を勘案
H 体に負担をかけない範囲で長期に服用

ということでしょうか。 
 
 こう考えてくると、マスコミや健康食品メーカーが書いている薬効や用法をそのまま信じて、利用しないよりは利用した方がいいだろうと言うような安易な気持ちで利用することは、どうもお金の無駄遣いであるように思えてきます。

 つまり健康食品といえども、本気でその薬効を信頼して長期の摂取を続けようとするなら、その健康食品に対する知識が必要で、更にそれと同時に自分自身の体の分析も必要になるなと思えます。

 もっと簡単に言えば、自分で自分の体を自己診断し、客観的に症状を把握した上に、自分が医師になったつもりで健康食品を服用する、という意識が必要なのかなと思えます。

 ただしここに私がまとめていることは、患者さんという当事者の立場ではなく、私の妻が闘病をしていたときに、もし利用できる健康食品があればどうだったのだろうか、という観点でまとめているもので、実際の患者さんの立場に立てば、そんなきれい事は通用しないと言うことはよく分かっています。

 日々大量化学寮法の副作用で苦しんでいるような方が、自分の体の症状を客観的に把握し、さらに健康食品に対する知識を深め、自分で最も良いと思われる処方を考案するなんてことはおよそ不可能であることは承知しています。

 ただ化学療法で疲弊した体を少しでも立ち直らせたいとか、化学療法の副作用を弱めたいとか、化学療法そのものの効果を増大させたいとか、化学療法でずたずたになった免疫力を少しでも早く回復させたい、と考える方は多いと思います。

 であるならば、尚更患者さん本人や、それをサポートする家族がそう言ったことについて必死に勉強しないといけないのかなと、自分自身の当時の連れへの接し方を踏まえながらこれを書いています。

 実際問題当時は日々の症状の変化に振り回され、病気そのものに対する知識が圧倒的に連れも私も不足していましたので、結果的に医師の言うとおりに治療を進めるしかありませんでした。

 それが良い方に向かえば言うことはないのですが、なかなかそう簡単にうまくいくとは思えません。

 今のようにある程度知識があれば、特定の時期に、もう少し治療の期間を開けて欲しいとか、ここで打ち切って欲しいというような要望をはっきりと医師に伝えられたと思います。

 またこういった健康食品の利用について、医師の見解を問いただせたと思います。その意味では患者及び家族の病気に対する知識(理論武装)が不可欠だなと感じています。
 


表紙に戻る ガンに効くと言われる食品 キャッツクロー