再度リツキサンについて

 私の連れが初めてCHOP療法を行っていたとき、親戚の方が「リツキサン」という素晴らしい薬があって、これを使えば治る確率が高まるということを教えてくれました。

 当時は悪性リンパ腫という病気そのものに対する知識もほとんどありませんから、初めてその話を聞いたときは、一種の抗生物質みたいなものかなと思っていました。

 リツキサンそのものは、連れに対する化学療法の途中から実際に使用され、寛解後も何回か使用しています。

 結果的にはこの薬を使用していたにもかかわらず再発をしてしまったわけですから、必ずしも万能ではないという事だと思いますが、統計的に見れば一定の効果があると認識されているようです。

 名前ですが、一般的には「リツキサン」と言われていますが、これは商品名で、実際の名称は「リツキシマブ」と言います。全薬工業、中外製薬から発売され、その価格は発売当時21万円という高価な物で、最初は保険適用外でした。

 高価になってしまう理由は、この薬剤を作る方法が、ヒトや動物の細胞に遺伝子工学的な加工を行う必要があり、製造するのがひじょうに難しいという事のようです。

 この薬の最大の特徴は、ヒトのリンパ球のB細胞表面にある特別なタンパク質の構造(CD20と呼んでいるようです)を認識し、その部分にこの薬剤が結合するというものです。

 さらに細かく見てみると、このCD20というのは、B細胞の成長過程でB細胞になる直前の細胞からB細胞になった頃に、細胞表面にあらわれるというものです。

 つまりB細胞がB細胞として成長する過程にこのCD20があらわれるため、その途中でリツキサンが結合することになります。

 もともとB細胞型の悪性リンパ腫は、当たり前ですがB細胞がリンパ腫細胞になっているわけですから、基本的にはそのリンパ腫細胞すべてにリツキサンが結合することになります。

 ただし当然ながら、正常なB細胞もCD20を表面に持っていますから、これにもリツキサンは結合します。

 結合後は「B細胞+リツキサン」という構造になるわけですが、どうやらこうなったときの形は、他の免疫細胞からは異物として認識され、攻撃を受けることになり、最終的に破壊、駆逐されると言う原理です。

 当然ながら正常なB細胞も破壊されますから、血液検査結果ではこの正常なB細胞の数値も下がることになります。

 と、ここまでは納得できるのですが、であるなら理想的にはすべてのリンパ腫細胞がリツキサンによって破壊され劇的な効果を上げそうにも思えます。

 しかし実際には治療効果はあるが100%ではないということです。その理由はなんなのか?またその効果を上げるために患者側で出来ることはないのか?それが気になってこのページを書いています。


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