療養費以外の支出

 家族が入院して初めて分かったのですが、入院療養費以外にもいろいろな支出があります。その中でもっとも大きいものは、我が家の場合は入院したのが専業主婦の連れでしたから、もしかすると入院のお見舞いのために、私の仕事が圧迫されたことかもしれません。

 もちろん有給や家族介護のための休暇を消費しましたから、表面上は金銭的な損失はありません。しかし有給が減れば、後々休みたいときや休まねばならないときに休暇がとれなくなる恐れがあります。

 その場合は有給ではなく、ある程度給与の減額を覚悟して休まなくてはなりません。

 また見舞いに行く時間は、当然働いていないわけですから、その分どこかで仕事を取り返さなくてはいけません。これも表面上の経済的損失はありませんが、短時間に集中して働くことを余儀なくされ、職場の人とのコミュニケーションが減りました。

 こういったことは、目に見えない形でじわじわと進行し、気がついてみたら自分だけが周りから取り残されていた、ということにもなりかねません。そのときはまともに経済的損失が絡んでくるかもしれません。

 以上が仕事に与える影響ですが、入院はそれ以外にもいろいろな支出が要求されます。いわゆる高額療養費還付の対象にはならないものをいくつか書きます。

 まず食費です。病院食はある程度の額までは療養費の対象になるようですが、それ以外は自分持ちです。病院側としても、入院の食事で儲けようと思ってはいないと思いますので、食事を作る人件費も含めてギリギリの値段でやりくりをしているのだと思います。

 しかし患者によって食べることが出来たり出来なかったりする食事があり、また好き嫌いもあるので、食事の用意は通常の家庭料理や給食とは違い、相当面倒なメニューになっていると思われます。

 唯一大量に作ることによるコストダウンが見込まれるので、だいたい1日3食で700円ぐらいでしょうか。つまり一ヶ月2万円ぐらいが自己負担になるわけです。

 また見舞いのための交通費も馬鹿になりません。我が家と職場から病院まではどちらもほぼ10kmぐらいの距離で、この間をほぼ毎日車で移動しました。正三角形の頂点にそれぞれが位置するので、余計な交通費は10kmです。

 これを週5日で一ヶ月繰り返すと20数日になります。燃費を1リットル10kmと考えると20数リットル余計な出費がかさみます。だいたい2500円ぐらいでしょうか。また病院の駐車料金も1回200円必要でしたので、これも一ヶ月5000円程度必要になります。

 さらに病院で患者用のパジャマを借りると、これが1日200円でした。つまり一ヶ月6000円です。それとこれが意外に大きな出費になりましたが、部屋のテレビは液晶の立派なものでしたが、有料だったためテレビカードなるものを買う必要がありました。

 このカードは冷蔵庫の電源とも共用になっていて、買わざるを得ません。これでまた一ヶ月5000円ぐらい必要になります。

 さらにさらに病院に行くときに、ちょっとした食べ物や飲み物、雑誌、文房具、テッィシュ等の雑貨を買っていきます。

 1回平均すると500円ぐらい必要でした。(我が家の場合常に新鮮な水を飲む必要があったので、ミネラルウオーターの購入代金がかさんでいます)これで一ヶ月1万5000円ぐらいです。

 その他必要に応じてMP3プレーヤーやポータブルのスピーカー、マッサージャー等ちょっとした電気製品をいくつか購入しましたが、トータルするとこれらの購入代金は数万円になったと思います。

 以上の出費をすべて加算すると、一ヶ月、20000+2500+5000+6000+5000+15000=53500円という計算になり、ほぼ毎月5万円ぐらいの療養費以外の出費があったことになります。

 こういった諸費用まで保険で賄うつもりならば、1日5000円の補償額は絶対に必要で、欲を言うなら7000円、8000円ぐらいの額がないと安心できないかもしれません。

 我が家の場合、家からも職場からも病院が近かったことがコストダウンの大きな要因になっています。入院患者さんに寄っては、見舞いは飛行機で来るという話しも聞いていましたから、その場合はさらにコストがアップします。

 とはいうものの逆に言えば、医療費の保障制度があるので、保険に入っていれば1日数万円の保障があるような保険は、保険金がもったいないという結論になるかもしれません。
 


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