水について

 Yの場合、首筋等のリンパ節が腫れるといった症状はまったくなく、ただ単に血液中にリンパ腫細胞が増殖しただけです。

 しかしリンパ腫細胞が増えると、細胞から骨を溶かす成分が分泌されるようで、血液中のカルシウム濃度が増加

 そのため体が異常を感じて水を多量に飲むようになりました。つまり水を飲むことによって血液中のカルシウム濃度を薄めようとしていたわけです。

 一方薄めるためには水を飲むのと同時に、発生したカルシウムを濾し取る必要が必要があり、これを担当する臓器が腎臓です。

 その結果腎臓への負担が多くなり、一番最初に地元の診療所で血液検査をしたときは、「急性腎炎」の可能性があると言うことで、緊急入院となりました。

 その後、悪性リンパ腫であることが判明し、大学病院に転院したわけですが、その頃には腎臓の働きがかなり弱っていて、医師団は「透析」もありえると言っていました。

 その頃私は、透析と言うのは腎臓の代わりをすることであって、治療が終われば回復するんだろうと言う勝手な先入観を持っていましたが、どうやら一度だめになった腎臓が回復することはないようで、一生透析しなければならないようです。

 しかし当時はともかく命がかかっている状態でしたし、私自身の知識もあやふやだったので、「ともかく何でも良いから治療を始めてくれ」という心境でした。

 というわけで、危機一髪の状況から治療が始まったわけですが、再三に渡って「腎臓が弱っている」という指摘を受け、ともかく常に水を飲むようにと指示されていました。

 よく水道の蛇口にろ過フィルターをつけている家庭がありますが、フィルターが汚れた場合は、洗浄するか交換するしかありません。

 腎臓の場合も、ともかくきれいな水を飲んで、腎臓内の老廃物を少しでも排出することが必要なんだろうと解釈していました。

 というわけで、最初は500mLペットボトルを毎回5〜6本購入して病室に運んでいましたが、そのうち面倒になってキャリーを購入。24本入りの箱ごと、病院内を運搬するようになりました。

 それにしても面倒だなと思ったので、1Lとか2Lのペットボトルではダメなのかと聞いてみましたが、飲み残しがあると、そこで雑菌が繁殖して、骨髄抑制が効いているときに思わず感染症を招くことがあると諭されました。

 (ちなみに治療中ペットボトルが原因と思われるような感染症の類は一切なかったように思います)

 当然ながら病室についているごく普通の水道も我々一般人なんら問題なさそうですが、「悪性リンパ腫患者で骨髄抑制が効いている場合は飲んではいけない」と強く言われました。

 なお水の種類については、硬水でも軟水でもどちらでもいいようでしたが、もともとカルシウム分で弱っているわけですから、硬水は避けたほうが良いなと思っていました。

 病院としては、清潔で雑菌が少なければ少ないほど良いという見解だったと思います。また雑菌が繁殖するのは、ねじ式のふたの部分だそうです。


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