輸血について

 闘病記にも書きましたが、輸血という方法をYの治療過程で初めて見ました。私が「輸血」という言葉に抱いていたイメージは、患者がベッドに寝たきりの状態で、大掛かりな機械を設置し安静状態で行うというものでした。

 しかし実際に行われた方法は、CVの管から精製された赤血球を供給するだけで、本人は具合さえ良ければベッド内である程度動き回ることもできます。

 ではCVとは何かと言うと、正式名称は「中心静脈カテーテル」と呼ばれているもので、鎖骨や首または太ももの付け根にある血管から非常に細い管を通し、これを心臓近くまで伸ばし、そこから各種の薬剤を供給すると言うものです。

 これを行うためにはやはり簡単な手術が必要なようで、挿入のたびに数時間手術室に行っていました。ただし手術時も挿入後も痛み等はあまりないようです。

 利点は、いったん入ってしまえば患者さんは毎日のように行われる点滴から解放されること。また、必要の無いときは挿入口近くをクリップで留めておけば問題ないので、動ける範囲が広がります。

 一方、欠点としては挿入の手術に伴い雑菌が混入し炎症を起こすことがあること。また当然ながら体の一部に管を通すわけですから、衛生管理をしっかりしないと挿入口周辺で雑菌が繁殖し炎症を起こすこと。

 Yの場合は特に抗がん剤治療で好中球の数が異常に少なくなった時期に2回ほど雑菌が繁殖し炎症を起こし、結構高い熱が出ました。(結局いったん抜き取って、違う場所から挿入と言うことになりました)

 ちなみにその際の主治医の説明では、「数ヶ月に一回程度交換しなくてはいけないことがある」と言うような言い方をしていましたが、今調べてみるとそんなに短期で交換する必要はなさそうです。

 これは要するに、抗がん剤治療で好中球が激減するために、どうしても炎症が起きやすいということなのだと思います。

 さてYの場合は、この管を通して抗がん剤の投与や輸血が行われました。輸血ですが、赤血球は当たり前ですが赤い色をしていました。血小板はオレンジがかった黄色です。

 しかし何回も輸血をしましたので、赤血球も血小板もそれぞれ日によって色の濃さが違うことに気がつきました。

 色が濃いほうが効くように思える、というのは入院中のYと私の会話の一部ですが、目で見てはっきり分かるぐらい色は異なります。

 なお赤血球と血小板は輸血によって人工的に増やすことが出来ますが、白血球の場合は免疫作用があるので、他人の白血球を体内に入れることが出来ません。

 そのため、白血球を増やしたい場合は造血幹細胞の働きを促進する薬剤(Yの場合はノイトロジン)という薬を投与し、これによって造血幹細胞を刺激し、ある意味無理矢理細胞増殖を促すようにします。

 しかし闘病記にも書きましたが、使いすぎれば造血作用そのものが疲弊し、いくら刺激しても細胞は増殖しないと言うことになります。

 後になって分かりましたが、そんなときに抗がん剤の治療を行ったら体に大きなダメージを及ぼすのは必然の結果です。

 そういったことを主治医は数値で判断して、治療を決定しているようですが、患者および家族は、本人の容態と数値を照らし合わせて、場合によっては治療の中断と言うことも視野に入れたほうが良いと思っています。

 (医者はマニュアルどおり治療を続けたがる傾向があるのではと疑っています)


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