抗がん剤の副作用とその対応(1)

 抗がん剤というのは、体内に細胞分裂時に作用する毒性の強い薬剤を入れ、それによって体のあらゆる場所で起きている細胞分裂を阻害すると言うものです。

 その効果は悪性リンパ腫細胞であろうがなかろうが、ともかくそこに存在して、今まさに分裂の準備を始めようとする細胞すべてに影響が出ます。

 中でも特に影響が大きいのが日ごろから活発に分裂を行っている細胞で、その中の一つがガン細胞だと言うことです。

 一方抗がん剤と言う薬剤の特性上、体内では様々な化学反応が起こり、それによって本来不必要な化学反応がおきます。

 その中でも患者さん本人が意識する不快な症状を副作用とか副反応と呼んでいます。副がつくので症状としては軽いと言う見方もありますが、実際にYを見ていると、病気そのものの進行より、副作用の方が辛いのではないかと思えるときもありました。

 主なものは以下の通りです。

・ 吐き気、味覚異常

 ともかく気持ちが悪くて、腹が減っていることが分かっても何も食べられない。食べると、それまで記憶していた味とはまったく違うように感じられるということのようです。

 病院食がともかくまずい、とよく言っていましたが、大部屋に入ったとき周囲の患者さんを見ていると、それほど不平も言わず食べていました。

 本人がもともと食べるのが大好きだったせいもあると思っていたのですが(栄養士の資格を持っていました)、どうやら副作用の影響も大きいのではと考えられます。


・ 口内炎

 味覚異常や吐き気と共に苦しんだのが口内炎。要するに好中球が少なくなるために、口の中の雑菌が繁殖しやすくなると言うことだと思います。

 うがいを頻繁に行っていましたが、吐き気や味覚異常と同時に起きることも多く、二重三重の副作用となり、食べる気にならないので自然に体力を失います。

 ただ防衛の方法はうがいと、雑菌が少ない食べ物を食べることぐらいしか思いつきませんが、健康な人間には想像もつかないようなペットボトルの雑菌でも繁殖することがあるようですから、なかなか防ぎきれません。

 唯一味つきの「ロックアイス」の冷たさが、口内炎の痛みを忘れさせてくれたようです。


・ 脱毛

 抜け始めるとあっという間のようで、髪の毛を手で引っ張っただけでばさばさ抜けてくると言っていました。

 しょうがないので、思い切って短髪にしたりして、ウイッグを利用。外出時に割と使いやすかったのは、帽子のふちに髪の毛が装着されている製品。

 また脱毛時は、手元に「コロコロ」という掃除用具を置いておき、頭髪が落ちたらすぐにそれで掃除すると言うことをやっていたようです。

 ちなみに脱毛は抜けるのも早いのですが、治療が終わってからの回復も早いです。


・ 鼻血

 抗がん剤によって粘膜が薄くなるのか、もともと鼻の部分の粘膜が薄いのかはよく分かりませんが、鼻血が出やすくなるようです。

 大人の場合、ほとんど出ないものですから、最初は大変なことになったと慌てました。抗がん剤の影響で、粘膜表面の細胞が傷つきやすいというのが原因かなと思っています。


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