化学療法実施に向けて

 6月21日(木)、転院4日目。

 咳が減って熱が下がったのでMRIを行う予定だと、Yからメールで連絡があった。前の病院からの経過を含めて、これまでで一番体調が良くなった。Yもうれしかったはずだ。

 夕方病院へ行くとYの妹さんとお母さんが来ていた。体調が良いせいか、これまでのストレスもあって、ひじょうに楽しそうに話をしている。

 しかし医師の話し振りでは、まだまだ予断を許さない状況であることを感じていたので、「そんなに盛り上がって良いのかな」と逆に心配になる。

 とはいうものの、この持ち前の明るさと気楽さが、この先の苦しい治療を乗り越える上で大きな力になったことも事実だ。

 主治医が病室に来て、「だいぶ状況が良くなってきたので、今後タイミングを見計らって化学療法を実施します。明日の夕方詳しい打ち合わせをしたいのですが、予定はどうでしょうか」と聞いてきた。

 「治療後はどうなるのか、再発はしないのか」と心配の種は尽きないが、現時点ではステロイド剤の投与によって、ずいぶん症状が改善されたように見える。

 翌22日(金)。転院5日目。

 ここまでほぼ皆勤で毎日病院に行っている。熱はなくなった。食欲はあるが、咳がまだ少し出る。

 しかしこれまでの状態や、入院時の病状の説明を考えると、見違えるようだ。今日は入院後初めて洗髪もしてもらい、気持ちの良さに感激していた。ただし相変わらず足が動きにくいらしく、トイレにはあちこちつかまりながら移動している。

 水分の補給は、お茶よりも水が良いと教えられた。しかも、雑菌の繁殖の恐れがあるため、一日で飲み干すことが出来る500ミリリットルのものでないと駄目らしい。

 実際に飲み始めると1日4〜5本が消費されることになった。必然的に、家族がスーパーで買って、病室に運び込むことになる。まとめ買いをすると、結構な重さになる。

 最初の頃はスーパーの袋に入れて運んでいたが、後に小さなキャリーカーを購入し、これで運ぶようになりずいぶん楽になった。


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