咳が終息し治療再開

 7月13日(金)、転院26日目。いつもの時間に病院へ。

 体重が少し減少。熱は無い。点滴はいつものソルデム、ビーフリード。抗がん剤の影響で、赤血球が減少しているため輸血。

 輸血用の赤い袋が点滴の支持台からぶら下がっている様子は、あまり気持ちの良いものではない。その後白血球を増やすためノイトロジン。

 血液検査結果はずいぶん良くなった。しかしALPは1130と、まだかなり高い。Yの場合、骨髄に悪性リンパ腫細胞がかなり入り込んでいるらしく、その影響だと思われる。

 しかしクレアチニンは0.78と正常値になり、腎臓は機能を回復。CRPも0.46と正常値近くまで減少してきた。咳が減ってきたことが数字でも実証されている。

 一方骨髄抑制がはっきりと表れ、白血球は290まで落ち込んだ。好中球は30(好中球の数値が上昇すると血球が増えてくる)なので、ほとんど生産されていないに等しい。

 従って感染症を予防するためにノイトロジンを使用し、先手を打って白血球を増やしている。また骨髄抑制は赤血球や血小板にも影響を及ぼすので、こちらは輸血で対処することになる。

 翌14日(土)、転院27日目。午後より次の治療開始。Cyclo BEAP療法というのは、最初の抗がん剤投与から次の投与まで7日間空けることになっているので、Yの場合は1日遅れただけである。今回の抗がん剤に対するYの反応は、最初のCHOP療法とは違い、ひじょうに良い。

 私の母、妹と共に昼前に入室。部屋に入った瞬間、皮膚が赤っぽく見えたので前回の発赤を思い出しちょっと焦る。さりげなく本人に聞いたが、自覚症状は特にない。母、妹が心配するので、それ以上は追及しなかった。

 治療中は何かと敏感になる。ともすれば悲観的な見方をすることが多い私には、大きなプレッシャーだ。逆にY自身はあっけらかんとしているので、ある意味助かっているが、これではどちらが患者か分からない。

 点滴はいつものソルデム、ビーフリードにブレドニン。入室直前ナースステーションにいた主治医から、「白血球数値はまだ低いのですが、上昇傾向にあるので治療を開始しました」という説明があった。薬剤はオンコビンとブレオ。

 オンコビンは以前半量だが経験済み。ブレオは初めての薬剤なのでちょっと心配になる。しかし副作用については、これまでいろいろと説明を受けているので、いまさら心配してもしょうがない。

 なお同時にブレドニンも処方されている。こちらは6日の治療開始から14日間連続投与中だ。

 病院からの帰りがけに母、妹ともに昼食を食べていると、Yから、「突然鼻血が出た」とメールがきた。

 やはり入室時の感覚が正しかったのかと思ったが、私以上に心配性の母妹には知らせず、食事中は平静を装った。鼻をかんだら右の鼻から出たようだが、メール時には出血も止まっている。

 酸素吸入の関係で、鼻の粘膜が弱くなっているのかもしれない。鼻から酸素を吸うと、粘膜が乾燥してしまうからだ。以前にも少量の鼻血が出たことを初めて聞いた。

 鼻血のことが気になったので、食事後再び一人で病院へ。熱は微熱。気分も悪くない。血圧正常。酸素濃度も98%と体調は良さそうだ。赤味も午前より薄くなった。明日以降白血球が減少するので、うがい、手洗いをこまめにする必要がある。

 この病院に来て初めて知ったが、感染は「手」と「唾液」からの確率が一番高い。逆にいうと、この二つを常に清潔に保つことが出来れば、かなり感染の危険は減る。


トップぺージに戻る  第4章 副作用との闘いへ 副作用は進行するが体調は良好へ