第3クール開始

 8月22日(金)。まだ時差ぼけが残っている帰国翌日に、予定通りの通院治療だ。

 後ろ髪を引かれる思いで帰国したが、Yの体調はこれまで以上に良い。出国時は100メートルぐらいしか歩けなかったが、あちこちで車椅子を降りて歩いていたせいか、かなり楽に歩けるようになった。旅行中体温も毎日測っていたが、発熱はまったくなかった。

 一方で、心配の極みに達していた主治医からは、根掘り葉掘り旅行時の異変について聞かれたが、まったく問題なかったことを報告。

 この日はこれまで同様に血液検査とレントゲン撮影。血液検査の数値を見ると、CRPは0.09、白血球は4760と正常だが、腎臓関係のクレアチニンが1.21と相変わらず高く、赤血球、血小板数値がわずかに低い。これはハワイに行っても治らなかった。

 しかしレントゲンのほうは、旅行前に比べて若干影が薄くなっている部分がある。ハワイには滞在するだけで癒し効果があると、我が家は硬く信じているので、出来れば数ヶ月滞在したかった。

 25日(月)。この日から再入院。長期の入院が予想されるので、たくさんの荷物を抱え病室へ。

 主治医や看護士さん、以前から入院している知り合いの患者さんから「よく戻ってきたね」と大歓迎されたが、ちょっと複雑な気持ちである。木曜から治療が再開される。

 26日(火)はCT、28日(木)はCV挿管。今回は首の付け根から入れることになった。鼠頸部よりも、見掛けは目立つが動きやすい利点がある。すぐに治療再開で今日はリツキサン。

 29日(金)再々入院4日目。抗がん剤治療の3クール目が始まった。使用薬剤はこれまでと同様。31日(日)は談話室で共に昼食。スーパーで購入した弁当を一緒に食べる。1週間ほど前まで、明るいハワイの陽光の下にいて、今は病院の人工的な照明のもとで治療というギャップが激しい。

 当然ながらYは見かけ上元気なので、この後も体に負担が生じる抗ガン剤の治療が、本当に必要性なのか、すこしだけ疑念を持ち始めた。かといって何もせずに再発した細胞が増殖を始めれば、すぐに体調不良になることも予想できるので、判断が難しい。


トップぺージに戻る  第8章 再々入院と治療への不審 治療継続が必要なのか?