主治医に再度疑念を伝える

 10月7日(火)、再々入院44日目。

 だるさが強い。Yの場合は血球が不足してくると全身がだるくなることが分かってきた。主治医と、現状について情報交換と今後の治療の継続について相談した。主治医からは

 「先日のレントゲンでは、肺の影にほとんど変化はありませんでした。しかし依然として自覚症状はないので、原因は不明です」と説明を受けた。

 いろいろな専門家に話をして判断を仰いでいるようだが、はっきりしたことはいまだに分からない。今後も治療を続けることについて

 「骨髄抑制が強く出ているので血球の回復が遅くなっているように思えます。そのため治療期間も伸びつつあり、これでは本来の治療効果が出ないのではないですか」と率直に疑念を表明した。

 主治医も悩ましそうな顔で、一瞬どのように説明すればよいか考えるように口ごもりながら、「治療効果と副作用のバランスをとって、ぎりぎりのところで最大の効果が出るように配慮しています」と答えてくれた。

 この説明は、抗ガン剤に関する書籍からの知識でそれなりに正しいと思えるが、現実のYの検査結果を見ると、これだけでは到底納得できるものではなかった。

 実際、毎日のようにノイトロジンで無理やり白血球を増加させているが、その効力が少しずつ減ってきているのは間違いない。

 もともと今年の入院は、胸のリンパ腫細胞の治療のために始めたものだが、すでに4回を経て充分治療効果は上がっているのではないかと思える。

 もちろんこれは素人判断だが、逆に考えると、もし効果が出ていないなら、やはり治療を継続する意味はないことになる。

 病院側としては、少しでもリンパ腫細胞を減らして、再発のリスクを避けようという方針なのだろうが、その前に体力が削られてしまっては意味がない。本当に悩ましい。しかし悩んでいるうちに時はどんどん過ぎ去り、5クール目開始の期日が近づいてくる。

 本来なら素早い判断や、強固な決断が必要な時期だが、日々の仕事や家事、病院通いに流されてしまう。

 8日(水)。4クール終了後5日が経過した。白血球が480まで減少し、血小板も29となり、骨髄抑制が顕著になってきた。

 しかし、CRPは0.3と少なく、なんとか持ちこたえている。副作用はだるさだけ。しかしクレアチニンは常に1前後で、それ以下には下がらない。やはり腎機能が衰えている。

 9日(木)から11日(土)にかけても発熱はなく、治療の手ごたえを感じる。ただしだるさは常にある。血球数が回復しないかぎり解消しないだろう。

 ハワイから帰ってきたときと比べると、体調はむしろ悪くなった。何のための治療なのかと思ってしまう。生き生きしていたYが、だるそうにしているのを見るのは辛い。


トップぺージに戻る  第8章 再々入院と治療への不審 発熱、そしてひたすら輸血へ