改めて治療継続の可否を相談

 10月29日(水)、再々入院66日目。

 以前同室だった、私も話をしたことがある人が突然亡くなった。病状悪化の知らせを聞いて1週間もたたないうちだ。

 リンパ節から脳への転移があり、一度退院したがすぐ再入院。しかし時すでに遅し。訃報を聞いてYもショックを感じ、今後の治療をどうするか、真剣に考えたようだ。

 そこで急遽病院に行き、主治医と面会。今後の治療について再度要点をまとめて質問を行った。こちらからの質問は以下の通り。

 今回の再発治療の出発点は胸からのリンパ腫細胞の発見。しかし入院時には自覚症状はまったくなく、昨年の入院に比べると症状はかなり軽いと思われた。

 しかし再発と言うこともあって、リンパ腫細胞根絶のために6回の治療が予定された。これが要約である。そこでまずは率直に

・ 治療は6回行う必要性があるのか。また6回の根拠はどこにあるのか。

・ 6回というのは、体に対して薬剤の悪影響が出る限界値ではないのか。

・ 今後抗がん剤の副作用が強く出て、日常生活に戻れなくなってしまう可能性はないのか。

 また骨髄抑制が強く出ているため、ノイトロジンを多用している現状に対して

・ 連続投与回数の制限はないのか。

・ 副作用はないのか。

・ ノイトロジンの多用によって、赤血球、血小板減少への影響はないのか。

・ 肺の影は、ノイトロジンの影響ではないのか。

・ 血球の自然回復を待って治療を行うわけには行かないのか。

 さらに

・ 現在の腫瘍量はどの程度なのか、マーカーの値はどうなのか。

・ 年末年始の外泊は認めてもらえるか。

 以上のような質問に対しての解答は

・ 治療の継続については、直前の血液検査結果数値によって判断している。

・ 6コース行うことによって、治療成績が上がることが実証されている。

・ 途中で中断した例はあまりない。

・ 血小板が少ないのはパラプラチンの影響でやむを得ない。

・ 自力回復を待つ方法も以前は行っていたが、今はなるべく間隔をつめて治療を行うことで予後が良いことが分かっている。

・ 現在治療によく反応している。効果が見られる場合は治療を継続したほうが良い。

・ ノイトロジンの連続使用の規制はない。

・ 結果については6コース行ってからPET検査を行い、その判定を待ちたい。

・ 6コース終了しても、リンパ腫細胞が残っている可能性が高いが、その先は腫瘍細胞と免疫力の力関係で決まる。

・ 現在、肺の石灰化は止まっている。これも効果が出ている証拠である。

・ 現在の腫瘍マーカーの値は1440で500よりは多いが、他の薬剤や治療で上がることもある。

 的確で自信たっぷりの説明を聞いて、Yともども、とりあえず納得し引き下がらざるを得なかった。しかし血球回復が遅いことはこの後も常に意識するようになった。

 30日(木)。本来ならこの日から5クール目が始まる予定だったが、血球数不足で明日に延期。代わりに赤血球、血小板が輸血された。
 
 治療を継続するか中断するか、場合によっては延期するか。本来なら数日かけてYや親戚一同と話し合いを持ち決定するような内容だと思う。

 しかし、一方で治療に関する過去の臨床データや抗ガン剤の副作用に関する知識があまりに少なく、これでなければならない、という決断をすることが出来ない。結局ずるずると結論は先延ばしになり、5クール開始の日が近づいてくる。


トップぺージに戻る  第8章 再々入院と治療への不審 5クール目に突入へ