主治医に今後の見通しを尋ねる 

 1月31日(土)。息子と病院へ。息子をYの病室に残し、主治医に今後の見通しを聞く。

 「1月17日から入院し、白血病の治療を行ったところ白血球は65000から120まで下がり、抹消血では白血病の細胞が消えました。ここ数日熱が出ていますが、これはCVからのグラム陽性菌の影響と考えられますので、いったんCVを抜くことにしました」

 治療が順調に進んでいることにほっとする。発熱の原因も分かり一安心。

 「現状から考えると体力や血球の本格的回復は2月10日前後になるはずですですが、回復と共に再び芽球が増える可能性もあります」

 つまり白血病が治ったわけではなく、単に白血球全体の数字が下がっただけなのだ。

 「妹さんの採血も終えHLA型がもうすぐ分かります。治療後の状態が良好なら、出来るだけ早く移植をしたほうが良いと思われます。時期としては3月半ばから4月の移植を考えています」

 「移植は骨髄バンクの場合、ドナーが見つかれば生着まで2〜3週間。臍帯血の場合は量が少ないので4〜6週間と回復期間が長くなります。また未熟な細胞が多いため、感染症のリスクも高くなります」

 移植後はどうなるかと言うと

 「移植後、移植細胞が体を攻撃することがあります。(GVHDと呼ぶ)。兄弟間の移植だとこれが軽くなります。主な症状は皮膚疾患、下痢、肝障害です。その後も輸血が必要になります」

 「移植後は3〜4ヶ月の入院が必要になります。つまり早くても夏までかかるということです。その後は2週間に1回の割合で通院となります」

 1年半以上に渡る治療を終えたばかりだというのに、この先また数ヶ月の入院が必要になると言う。やりきれない思いだ。しかもこれは治療が順調に進んだ場合で、今の治療が功を奏さない場合は

 「今後の病状が悪い場合、移植は出来ません。常時輸血が必要になり、感染症の危険も増します。10日後ぐらいが判断の分かれ目です」

 さらに

 「移植後は日焼けですらGVHDの可能性があります。白血球が自力回復で1000を越すことが目標となります」

 なんだか暗い話ばっかりだ。「本当に治るのでしょうか」という言葉が出かかるが、「厳しいです」と言われそうで質問できなかった。抗真菌剤のブイフェルドが処方されるようになり、今日もまた血小板輸血。

 しかしいくら輸血しても数値は上がってこない。やはり昨年の治療が行きすぎだったのではと、いつものように振り返り悔やむ。発熱の原因と思われるCVが抜かれ、左腕の点滴になった。多少だが開放感がある。

 一方で発熱を抑えるために様々な抗生剤が処方されるようになった。イトリゾール(抗真菌剤)、アミカシン、ブイフェンド(抗真菌薬)、メロペン、バンコマイシン(MRSA治療薬)、マイスリーなどである。

 白血球が少ないのでやむを得ないとも思われるが、何か将来を暗示しているようで、落ち着かない気分にさせられる。


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