免疫力と食事の関係

 免疫反応と簡単に言いますが、それを行っているのは好酸球、好中球、好塩基球、リンパ球、単球といった免疫細胞です。

 これらの細胞は骨髄中にある造血幹細胞が分化して作られています。当然ながら、分化させるためには、ただ増殖させるだけでは駄目で、そこにある物質を作用させて、分化を促します。

 つまり今はリンパ球が不足気味だからリンパ球を増やそう、というように造血幹細胞に働きかける物質があるということです。こういった細胞にはたらきかけて、分化を促したり、細胞そのものを働きを活性化させる物質を「サイトカイン」と呼びます。これは、タンパク質の一種です。

 従って様々な種類の白血球を生産するためには、生産工場である「骨髄」と、そこで生産を指示する「サイトカイン」、さらに生産の原料となる「造血幹細胞」が必要だと言うことです。

 これらの骨、サイトカイン、造血幹細胞を作るためには当然材料が必要なわけですが、それを我々は日々食べ物から摂取しています。

 生物の授業をやっているとよく分かるのですが、口から胃まではともかく食べたものを細かく砕いて、ドロドロの粥状にするという作業をして、そのドロドロになった物質から腸が必要な物を濾し取り、大腸が水分を濾し取り、不要なものを排泄するという作業を日夜行っている、ということがよく分かります。

 腸から吸収された有用な物質は血流に乗り、肝臓に集められ、そこでさらに毒物や不要物を除去し、材料の形で保管、必要に応じてその材料を血流に乗せ細胞に運び、細胞内でその材料から新たに必要なアミノ酸やタンパク質を作っていく、という作業が繰り返されています。

 この時、通常の大きな機械工場でもそうだと思いますが、ボルトやビスが一つでも欠落していれば、出来上がる製品には不具合が生じる可能性があります。

 つまり人間の場合も、必要な材料を揃えるために様々な物質を摂取し、常にストックしておく必要があるわけです。またそれらを末端まできちんと運搬できる血流の存在が条件になります。

 ということは、材料を揃えるためには、様々な物質を万遍なく食べなさい、ということになります。特定の物質に片寄った食事をすれば、ストックできる材料も片寄ることになり、そうなると欠陥製品(欠陥細胞)も増えることになります。

 欠陥細胞が増えれば、その細胞が異常な振る舞いをする確率が高くなるわけで、当然ガン等の病気を引き起こす確率が高くなります。

 また免疫系にとってみれば、いわゆる欠陥の多い白血球が血液中に多く出回り、それらは当然異物認識能力も低いし、運動性能や攻撃力も低くなる可能性が高くなります。その状態を、免疫力が下がった、と言い換えることも出来そうです。

 ネット上では、免疫力を高めるために、特定の食品を勧めるサイトと、もう一つバランスの良い食事を摂ることをすすめる二種類のサイトがありますが、以上のことから、私の場合は後者を支持する立場に立ちたいなと感じています。

 ただそう書いてしまうと、何でもかんでもともかくいろいろなものを食べなくてはいけない、と言うことになりそうです。それを避けるために、前者のサイトが勧める食品を適宜取り入れた、バランスの良い料理が良いのかなと思えます。


表紙に戻る 免役について 免疫力を弱める因子