適度な運動が免疫力を上げる理由

免疫力というのは、

@ 骨髄での生産体制、生産力
A 実際に体の中を動き回っている免疫系の血球数
B 各血球の成分比
C 各血球の異物に対する反応性

と言うようなことではないかと「免疫力を左右するもの」というページでまとめています。従って運動をするということが、これらの項目についてより良い方向に働くなら、運動によって免疫力が活性化したと言うことになります。

 そこで今度は前ページにまとめた運動を行うことによって体内にどんな変化が起きるかと言うことを改めてここに書き出すと

@ 筋肉や腱が動く
A 五感や神経系、脳が活発に活動する
B エネルギーを供給するために血流が良くなる(自律神経が活躍する)
C 血液中にエネルギーを供給するため肝臓等の内臓が働く
D 血液中の赤血球に酸素を運搬させる
E が多量の空気を吸い込む
F 心臓が血液を送り出す
G 筋肉を構成する細胞内のミトコンドリアに酸素が供給される
H 体全体で活発な化学反応が起きる
I 体温が上昇したり、発汗作用が生じたりする

 というのが私自身のまとめだったので、これらの@からIまでの項目内容が充実することによって、上の@〜Cに影響を与えるのかどうかを考えればいいのかなと思います。

 そこでネットでこれらの関連を調べてみました。すると、運動をするために外部から多量の空気を取り入れる必要があり、そうなるとその中に生体にとって必要のない物質が混ざっていることもあるため、体内では免疫系を作用を強くして、そういった異物への迎撃態勢を整えている、と言う記述を見つけました。

 具体的には、運動をすると一部の顆粒球(好中球)やリンパ球(T細胞、NK細胞)の数が増えるみたいです。

 だから「免疫力が高まった」とは、白血球分画のことを考えると一概に言えないような気もしますが、少ないよりは多い方が良いだろうと考えれば、これは運動による免疫力アップの実例になるような気もします。

 しかしこれ以外に「適度な運動が免疫力を上げる」理由をきちんと説明している記述は見つかりませんでした。そこで私なりに適度な運動が免疫力を上げる理由を考えてみました。

 先ず@からIの項目を見ながら考えると、筋肉や腱が動く、ということは、その場所で筋肉を動かす物質が大量に消費され、それが運動エネルギーに変わっていると言うことです。

 この時、化学変化というのは基本的に発熱を伴いますから、その部分で熱が発生します。運動すると体がポカポカする理由の一つだと思います。

 つまり体温が上昇するということで、これによって酵素の働きも活発になり、より化学反応が進むことになります。つまり低体温や冷えが解消されるということですから、硬く縮こまっていた血管も柔軟になり、血流もスムースになります。

 血液がスムースに流れるようになれば、その中を流れる好中球やリンパ球もどんどん末端に浸透していくわけですから、体の隅々で免疫反応が生じて、不要な物質を一気に洗い流すことが出来るのではないかと思えます。

 また肺に多量の空気を取りこむことになりますので(有酸素運動)、取りこまれた酸素がサラサラと流れ始めた血流内の赤血球に取りこまれ、組織末端まで運ばれます。

 その結果組織末端まで酸素や栄養分が行き渡りますから、細胞内では充分な栄養分と、運ばれてきた酸素を使って充分なエネルギーを産み出すことが出来、その結果細胞分裂で不良品が生じる可能性が減ります

 これは免疫細胞のはたらきとは関係ないように思いますが、結果的に不良品となる欠陥細胞を生じる確率が低くなるわけですから、免疫細胞にとっても負担が軽くなるということになりそうです。
 
 つまり「適度な運動」は体内に充分な酸素と栄養分を取りこむことが出来る環境を作り、それによって体内の化学反応を活発に行うことが出来、必要に応じてどんどん免疫細胞を作ることが出来、さらに作られた免疫細胞が体内隈無く循環できることになるので、結果的に免疫力が高まる、と言うことになるのかなというのが私の個人的な結論です。

 ただしこれはネットの記述でも指摘されていますが、運動のやり過ぎはかえって免疫力を下げてしまいます。病気になった人が激しい運動をするとは思えませんが、何事もやり過ぎは駄目だと言うことだと思います。


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