化学療法による血球数低下への対処

 抗がん剤による化学療法を行うと、白血球、赤血球、血小板、リンパ球といった血液中の血球はどんどん減っていきます。

 この中で特にその影響を受けるのは白血球とリンパ球です。もちろん赤血球や血小板も影響を受けますが、入院当初のまだ骨髄が元気だった頃は、赤血球や血小板の減少はそれほど目立ちませんでした。

 一方白血球のほうは、主治医が予言したとおり、文字通り限りなくゼロに近くなるまで減少しました。

 白血球やリンパ球は、本来外部からの異物や病原菌を体内で分解、駆逐してしまう作用があります。

 いわゆる人体の中の警察機構みたいなものですが、その警察の力がほぼゼロになるわけですから、抗がん剤治療時に異物や病原菌が体内に入ってもそれを駆逐することが出来ません。

 そこで病院側としては、少なくとも外部から雑菌が侵入しないように最大限の注意を払うことになります。

 そういった配慮から、Yが入院していた病室は、フロア全体が無菌になっている、とのことでした。

 一方我々見舞いに訪れる家族は、外部から多数の雑菌を持ち込むことになります。そのため最低限のエチケットとして病棟に入るたびに手洗いとマスクが義務付けられていました。

 本来なら、家族も出来れば入らないほうが良いと病院側は考えているように思います。さらに子どもは持っている雑菌が多いと言う話も聞きました。

 そういった関係で、この病院では、家族以外の見舞いはすべて断っているようです。

 また友人たちからの果物等の差し入れについても感染の危険があるので、基本的に不可ということでした。

 当然ながら、「それならお花等はどうですか?」という質問をYの友人から受けたこともありましたが、基本的にこれもダメです。

 というわけで、雑菌を意識すると、抗がん剤治療中は何も病室に持ち込めないと言うことになります。

 実際治療途中で、白血球減少による感染症で何回も高熱を発する姿を見ていましたので、相当気をつけないといけないんだなと言うことは認識していました。

 しかしそうなると、単純なスキンシップも難しいと言うことになり、また食べたいものがあっても、雑菌の存在を考えると食べられないということになるわけで、これは現在の抗がん剤治療の限界だなと感じました。

 つまり抗がん剤と言うのは、良い白血球も悪いリンパ腫細胞も一緒くたにして殲滅してしまうということです。

 当然ながら悪性リンパ腫細胞のみを標的にして駆逐できれば究極の抗がん剤が出来るわけですが、その一つが「リツキサン」であると言えそうです。


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