Cyclo BEAP療法について

 この療法で使用する薬剤については、薬剤投与例のページで表にしてまとめました。

 我が家のYは、入院当初体力が落ちていたため通常のCHOP療法を正規の半量で行いました。

 すると腫瘍細胞に対してかなり効果があったようで、主治医も最初は「かなり効果が表れています」とうれしそうに説明してくれました。

 ところが数日後、「再び腫瘍の増殖が始まりました」という説明があり、腫瘍細胞に抗がん剤が効果を表すことが確かめられたものの、腫瘍細胞自体の勢力と言うか性質がかなり悪性であるということも同時に判明しました。

 そのためにある程度強い化学療法を行わないと効果が表れないと医師団は判断したのだと思いますが、それによって提案されたのが表題の「Cyclo BEAP療法」というものです。

 このときのこの療法に関する主治医の説明は、闘病記の中でも書いていますが、以下の通りです。

 Cyclo BEAP療法について、さらに詳しい説明を求めると

 「Cyclo BEAP療法の投与例は全国で数百あります」(多いのか少ないのか良く分からない)

 「また7〜8年の歴史があります。使用する薬剤は6種類の抗がん剤とリツキサンを併用します。目的は、短い間隔で計画的に薬剤を投与して、リンパ腫の活動を抑えることです」

 「副作用は吐き気、脱毛、便秘、口内炎等の他に、血液中の白血球がゼロに近い状態まで下がります。(骨髄抑制と呼びます)そのため必ずと言っていいほど、なんらかの熱が出ます。発熱には抗生剤で対処します」

 この療法を採用する根拠は

 「寛解率が8割と高いためです。R―CHOPですと5割程度です。(だとすれば、R-CHOPより優れていて標準治療となりそうだが・・・)ただし、大量の抗がん剤が使用されるので、若く体力がある人しか出来ません」

 (つまりそれだけ体に負担が大きいと言うこと。しかし当時は8割と言う数字に目がくらみ、体力やQOLということをまったく考慮していなかった))

 さて闘病記ではこの療法の使用例は全国で数百あると主治医が説明していて、これが多いか少ないか分からないと私は書いています。

 この理由ですが、そもそも「悪性リンパ腫」という病気の名前をこれまでの人生経験で一度も聞いたことがなかったため、病気になる人数が少ないのだと思っていました。

 しかしその後いろいろ統計データを調べてみるとウィキペディアでは2000年における日本人の推定患者数は12000人と書かれていますから、その人数に比べると明らかに少ないと思われます。

 さらに7〜8年の歴史があって数百の投与例ですから、冷静に考えるとかなり特殊で強力な療法だったと言えそうです。

 その後私なりに化学療法の勉強をして考えた結論ですが、強い化学療法は確かに効果は大きいけれど、患者の体への負担も大きくなり、CHOP療法に比べて必ずしも生存率やQOLが著しく改善するとはいえないということが分かりました。

 ただYのリンパ腫細胞がかなり悪性のものであるということが分かってきた時点で、病院側もこれを押さえ込むには強い化学療法を採用せざるを得ないという判断だったのかもしれません。

 一方強い化学療法を行うと、上の主治医の説明にあるように寛解率は高くなりますが、さりげなく言っているように、若い人にしか出来ない強い化学療法であるため、その副作用も大きいと考えざるを得ません。

 さらに言えば、最初にこの強い化学療法を行ってしまうと、再発したときは、さらに強い化学療法を行わざるを得ないということまで考えが及んでいませんでした。

 ということで、どんな化学療法を行えば良いのかというのは、医師団にとっても悩ましい問題ですが、患者および家族もある程度の知識を持って判断しないと、「病院の判断にお任せします」では、悔いが残る可能性があります。

 今私が選択を迫られたら、これまでの勉強の知識から考えると、たとえ相手が悪性であっても標準のCHOP療法を選択していたように思えます。

 初回の治療ですぐにリンパ腫細胞が復活したという事実があるものの、それは半量での治療ですから、標準的な量で行えば治療効果はそれなりにあったのではと思えます。

 ただしそうなると寛解に至るかどうかということが問題になりそうで、これを考えていくと堂々巡りになります。


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