寛解とは?その後の再発の可能性は?

 我が家の連れは、梅雨時から強い化学療法を秋口まで実施。まだ若く健康な状態で始まった化学療法でしたので、割りに副作用も少なく、入院当初の健康状態はかなり改善して退院に至りました。

 しかしそれでも、クールの終わりが近づくに連れ、好中球が激しく減少しノイトロジンを投与ということを繰り返したり、度重なる抗がん剤の副作用で、退院時も手足の痺れや運動障害も残っていました。

 また入院中はベッドで寝起きをすることが多く、ほとんど運動してませんでしたので、10mも歩くと心臓がバクバクするというような状態ではなかったかと想像しています。

 それでも、主治医からは「現在は寛解状態と言ってよいと思います」というお墨付きを得て、ようやくここまで来たかという感慨を新たにした記憶があります。

 その際、退院にあたっての注意事項もいろいろありましたが、そもそも「寛解」というのはどういう状態か、ということを素直に主治医に質問したときがあります。

 その際の主治医の答えですが

 「目視で血液中にリンパ腫細胞がなくなった状態を寛解として考えています」というものでした。

 目視というのは目で見るわけですが、当然血液中のリンパ球は肉眼では見えませんので、顕微鏡等を使って血球の形を見るのだと思います。

 そうやって血液中の血球を見たとき、通常のリンパ球と悪性リンパ腫によるリンパ球をどうやって区別するのかという疑問も残りますが、それはさすがに専門的過ぎて私には分からないだろうと思っていました。

 ただ血液検査をすると言っても、体内に流れている血液量は4〜5リットルあり、これを全部調べるわけにはいきません。

 仮に1回で10ミリリットルの血液を採ったとしても、これは全体の500分の1の量です。その中にたまたま一つも悪性リンパ腫細胞が見つからなかったと言って「寛解」を宣言するわけですが、残りの500分の499の血液中にリンパ腫細胞が残存している可能性は充分あります。

 またある時期見つからなくても、ちょうど悪性リンパ腫細胞が生まれる時期に血液検査をしていれば、検査後に増殖が始まるということにもなりそうです。

 そう考えると、病院側は様々なデータで「寛解」を宣言するわけですが、実際にはまだかなりの量のリンパ腫細胞が残っているように思えます。

 したがって、それらの細胞が再び活動を始めれば、当然再発ということになるわけで、それを防止するために「リツキサン」等の分子標的薬が処方されるのだと思っています。

 というわけで、寛解と言われても、そう簡単に「治った」という判断には至らないわけです。

 その意味では、寛解後は上記のリツキサンと自分自身の免疫で、残ったリンパ腫細胞を駆逐していくことになるわけです。

 ところが我が家の連れの場合、再発後は度重なる化学療法によって、免疫力そのものが衰えてきて、自分自身で自分の体を修復することが出来なくなり、最後に至りました。

 ということは、寛解と宣言されたときに、リツキサンはもとより、自分自身の体力も同時に充分回復していないと、再発の危険性が高まるということになりそうです。

 しかしそもそもの悪性リンパ腫細胞の勢いが強ければ、最初から強い化学療法を行わざるを得ず、そうするとその化学療法によって体力が奪われ、見かけ上「寛解」に至っても再発する確率が高くなるという矛盾を抱えることになります。

 ではどうすればいいのか?ということが分かれば、病院側はとっくにその方法を試していると思いますが、少なくとも我が家の例では、とにかく今現在増殖中のリンパ腫細胞の勢いを止め、少しでも減らすことが最優先の治療だったわけで、本人の体力までは維持できなかったといえそうです。


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